2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K00529
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
入江 浩司 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (40313621)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アイスランド語 / 非人称動詞 / 対格主語 / 斜格主語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は現代アイスランド語の非人称動詞のうち、対格主語をとるものを中心に研究した。先行研究で報告されている約50個の該当する動詞についてコーパスによる調査を行い、対格主語の意味的特徴と、共起する成分の形態的・意味的特徴をもとに分類を試みた。複数の意味をもつ動詞もあるが、以下に大まかな分類と個数の上での分布を示す。 目的語をとる動詞は少ないが、対格目的語をとる動詞として、欠如を表す vanta「~を欠く」、skorta「~が足らない」、bresta「(言葉が)出てこない」、対格の同族目的語をとる動詞として dreyma「(夢を)夢見る」、属格目的語をとる動詞として idra「~を後悔する」といった動詞があった。心理的な欠乏を表す動詞では、langa「~したい、欲しい」のように eftir「~の方へ」, i「~の中へ」, til 「~の方向へ」といった前置詞を介して目的語をとるものが多いことがわかった。動詞の個数では以上で全体の1/3程度を占め、これらの動詞の主語は基本的に人間を表す。 目的語をとらない動詞では、主語の状態または位置の変化を表す動詞が多く、brjota「割れる」、festa「固着する」、reka「流れ着く」といった例があり、こうした動詞においては主語は基本的に事物で、意味的に整合するなら人間を表す主語も現れる。人間を主語として、感覚の出現を表す動詞も多く、svima「目まいがする」、verkja「痛む」といった例がある。状態・位置の変化を表す動詞が全体の1/4程度、感覚の出現を表す動詞が全体の1/5程度の個数を占める。また、gruna「~ではないかと疑う」、minna「覚えている」といった人間の認識の状態を表す動詞が6個あった。 なお、対格主語をとる動詞では、主語が意思をもつ動作主と解釈できるものは一つも見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度に続き、世界的な新型コロナウイルス感染症の状況により、予定していた現地調査を実施することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
世界的な情勢を見て、現地調査を行うことが困難な場合、母語話者に対する調査はオンライン形式で行ない、文献やコーパスを利用した調査の比重を高める。
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Causes of Carryover |
海外における現地調査のための旅費として計上していた予算が執行できなかったため。次年度は、もし現地調査が可能になれば、そのための旅費として執行する予定であるが、現地調査ができない場合には、代替の調査方法としての文献調査を行うための図書等の備品費として執行する予定である。
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