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2018 Fiscal Year Research-status Report

非同意が選好的反応となる評価の相互行為研究:「褒め」と「自己卑下」を中心に

Research Project

Project/Area Number 18K00684
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

初鹿野 阿れ  名古屋大学, 国際機構, 特任教授 (80406363)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 岩田 夏穂  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (70536656)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords日本語教育 / 自己卑下 / 褒め / 会話分析
Outline of Annual Research Achievements

「自己卑下」は自分や自分に属するものに対する否定的な「評価」である。「評価」という行為は、通常「同意」によって反応することが適切になるが、「褒め」や「自己卑下」は「非同意」が適切となる。そして、文化によっては、期待される反応が異なる場合があることから、特に接触場面におけるやり取りでは、日本語の母語話者、非母語話者双方にとって展開が難しい行為である。このような行為は、コミュニケーション上重要であるにもかかわらず、日本語教育の場ではほとんど取り上げられてこなかった。
本年度は、大学生、大学院生による接触場面、母語場面の会話、及び国立国語研究所「日本語日常会話コーパス」モニター公開版を利用し、そこに現れる「自己卑下」を抜粋し、連鎖環境を分析した。その結果、多くは「褒め」に対する「謙遜」として隣接ペアの第2成分の位置に現れていた。しかし、いくつかはそれ以外の位置で現れており、その中から2つの事例について、「自己卑下」の生起環境や連鎖構造を会話分析の手法を用いて分析を試みた。
①自慢に聞こえる可能性のある発話のあと:やり取りの中で、一人の参加者が自分について、自慢に聞こえるかもしれない発話を行ない、聞き手がそれに同意する発話を行う。そのあと2.5秒の間が空いたあとに、最初の発話を行なった話者による自己卑下が現れた。この自己卑下は先行する自分の発話(自慢)への対処として聞きうる位置である。
②他者への褒めが続いたあと:3人での会話の中で、一人の参加者ともう一人の参加者の間で褒めと謙遜(自己卑下)が繰り返されたあとに、3人目の参加者による自己卑下が現れていた。ここでは、自己卑下が褒めと謙遜という長く続きそうな連鎖を止める役割をしているように見える。
①、②どちらの事例においても、自己卑下は先行する過剰なやり取りや偏りに対して、バランスを取るような役割をしているのではないかと考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新しいデータと共に、国立国語研究所の話し言葉コーパスのモニター公開に応募し、データが使えるようになった。膨大な量のデータであるため、全てを視聴し、そこから当該行為を抜き出す作業に時間がかかっている。

Strategy for Future Research Activity

本年度の分析結果から、会話データには「褒め」の応答としての謙遜(自己卑下)(隣接ペアの第2成分としての位置)が多く現れていることがわかった。「褒め」との対比として自己卑下を考える上で、「褒め」と同じ位置(隣接ペアの第2成分ではない位置)に現れる現象に注目する必要があることがわかってきた。
2年目は、位置を絞ってデータを観察し、「褒め」と「自己卑下」を対比しつつ、連鎖における役割やその反応を分析していく予定である。

Causes of Carryover

データ収集時期が遅かったため、文字起こしを年度内に依頼できなかった。その分は来年度に行う予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] 日本語での雑談に現れる自己卑下の分析:連鎖状の働きに注目して2018

    • Author(s)
      初鹿野阿れ、岩田夏穂
    • Organizer
      ヴェネツィア2018日本語教育国際大会
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2019-12-27  

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