2020 Fiscal Year Research-status Report
非同意が選好的反応となる評価の相互行為研究:「褒め」と「自己卑下」を中心に
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18K00684
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
初鹿野 阿れ 名古屋大学, 国際機構, 特任教授 (80406363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 夏穂 武蔵野大学, グローバル学部, 教授 (70536656)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 否定的自己評価発話 / からかい / 会話分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は、隣接ペアの第2成分の位置以外の連鎖環境に現れる「否定的自己評価発話」の働きを分析し、その結果、新たに以下のような否定的自己評価発話の働きが明らかになった。1) 自分の発話が他者への挑戦となりうる発話への対処として働いていると思われるもの。2) 相手から期待される行為を自分が遂行できないのではないかという懐疑に対処していると思われるもの。3) 自分の未来の行為の予想(肯定的なもの)が聞き手によって十分に支持されなかったやり取りのあとの位置において、自ら否定的な結果予想を行うもの。2)と3)は、相互行為における何らかの気まずさや予想されるコミュニケーション上のトラブルへのヘッジのような役割をしていると考えられる。また、否定的自己評価発話はやりとりに現れる緊張を緩和するために、自分の状況や能力について否定的に評価することで笑いを誘い、状況を和ませる働きがあることがわかった。 当該年度は予想できなかった事態が多く起こり、十分な研究が行えなかった。したがって、既存のデータとその分析結果をより精巧なものにすることに終始した。研究分野を同じにする研究者との集まりにおいて、データ分析結果を発表し、有益なコメントをいただいたため、それを参考に、分析結果に新たな視点を加えることができた。また、関連する行為として「からかい」の分析を再度見直し、既に明らかにした「からかい」の対象となる発話がある特定の発話ではなく、そこに至るまでの話者の活動のやり方や話の持って行き方がからかいの対象となっているやり取りを再分析し、その結果を発表するべく論文をまとめている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大防止ため、多くの学会が中止となり、かつ、大学での教育におけるオンライン対応のため、時間が十分に取れず研究があまり進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、からかいについては論文をまとめている。秋に投稿予定である。また、自己卑下ついては現在の分析を深めた上で、来年3月の日本語教育学会で発表したいと思っている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、学会が中止、またはオンラインとなり、旅費として予定していた予算が使えなかった。
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Research Products
(2 results)