2023 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the comprehension process based on the development structure of lecture discourse and analysis of lecture notes
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18K00706
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
渡辺 文生 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (00212324)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 講義の談話 / ノート筆記過程 / メタ言語表現 / 談話の理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,講義の談話の聞き手が談話の中のどのような表現を手がかりに内容の要点を理解しているのかということを調査することにより,談話の流れに沿った理解の過程を明らかにすることである。調査の内容は,1)語彙リストの提示,2)講義のリスニングおよびノートテイキング,3)理解テストというもので,日本語母語話者および日本語学習者を対象として行った。 データ収集で用いた講義談話の展開的構造と講義ノートに記述された内容との相関についての分析の結果,母語話者・学習者ともに,新出の名詞を重要度の観点から取捨選択してノートに書いていくことが基本的ストラテジーと指摘できるが,学習者の場合,連体修飾節内や注釈的表現内の新出名詞が母語話者より多くノートに記載される傾向にあることなどが明らかになった。講義ノートの記述内容およびその筆記過程と理解テストの結果とのあいだの相関についての分析では,講義者が講義の話題や内容の項目数,要点などについて言及するメタ言語表現を手がかりに用い,母語話者と学習者それぞれの講義理解ストラテジーについて考察を行った。その結果,〈評価型総括〉のメタ言語表現が,その総括された内容より先行して現れる方がメタ言語表現に関するノートの記述が多く,理解テストの得点も高かったこと,および,この談話パターンにおいては,評価の対象となる内容に関するノート記述が,メタ言語表現に関する記述に先行して行われる傾向が強かったことなどが分かった。 これらの分析結果をもとに,学習者を対象として,ノートテイキングおよび理解テストの後に講義談話の内容や構造について解説し,学習者自らが自分の講義理解およびノートテイキングの過程について自己評価してもらうという追加調査を行ったところ,ノートテイキングを向上させるにはメタ言語表現を意識すること,および,語の反復やキーワードを把握する重要性が指摘された。
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Research Products
(1 results)