2021 Fiscal Year Research-status Report
協働的な説明活動におけるモニタリングと読解学習に関する研究
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18K00711
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 礼子 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (30432298)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本語読解 / メタ認知 / 自己モニタリング / 他者への説明 / 自己省察 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,上級レベルの日本語学習者の読解学習法として,「他者への説明」が核となる読解活動を提案し,その方法を検討するものである。これまでに,上級日本語学習者であっても,書き手の意図や暗示的に示された内容に注意を向けるようになるには他者による問いかけや働きかけが重要であること、文章を読んだ後に視覚化と概念化を促す活動を個人内と他者間の2段階で実施することが明示的な自己省察を促すことを示してきた。本研究課題では続いて、実際の授業における説明活動による読解スキルの変容を検討する調査を実施する予定であったが、2021年度も新型コロナウイルス感染症対策や留学生への日本への入国制限が続いたため,多くの講義がオンラインでの実施であったり、キャンセルを余儀なくされた。そのため,計画を変更してオンラインでの探索的な実践や限られた範囲での実践を行った。得られた知見は、オンライン等での他者との関係性が薄く非言語コミュニケーションが限られた状況における説明活動では、より個人的な興味を持つ読解材料を読み手自身が選ぶことが、説明への動機づけや伝わる説明を工夫することを促進するようであることが推察された。 これまでに他機関の研究者と共同で日本語教材を作成してきており、本研究で得た「読解時に文章内容や自身の読み方への自己モニタリングを活性化させる手法」および「グループワークで他者への説明を行う手法」を取り入れて実践を行ってきた。これまでの取り組みを活かして、日本語教科書の出版(共同執筆)につなげることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究計画の前半部分については順調に進んできたものの、後半部分で計画していた実際の授業場面での説明活動の継続と読解スキルの変容についての検討については,留学生の入国制限の影響で調査対象者が減少したことや、新型コロナウイルス感染症対策により対面授業の実施がごくわずかであったことなどから,十分な実施環境を整えることは困難であった。オンライン環境下での探索的実践により得た知見も生かして、当初の目的を実行したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
オンラインでの探索的な授業実践から得た知見を活かし、説明相手である他者との関係性が十分に構築れない状況もしくは非言語面の情報を補うことができない状況における説明活動の促進要因を探りたい。また、読解材料への興味についても検討課題に加え、読解材料を読み手自身が選ぶことが、説明への動機づけを促進するか、説明の質や量に影響を及ぼすかについても探りたい。調査参加者を集めて調査をするなどの調査手法には制限があることが予測されるため、質的手法を取り入れることを予定している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:参加予定の研究会が中止やオンライン開催となったうえ,出張が認められなかったため旅費の執行がなかった。また,調査参加者を集めた調査をすることもできなかった。 今後の使用計画:昨年度に引き続き,参加予定の研究会が中止やオンライン開催となる見込みであるため,旅費は不要となる可能性がある。調査の実施可能性は不透明であるが,実施可能な調査計画を立て直し、計画にそって予算執行を行う。
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Research Products
(2 results)