2019 Fiscal Year Research-status Report
実践当事者による協働的評価をめざす学習者参加型実践研究
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18K00716
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
広瀬 和佳子 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (60711752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寅丸 真澄 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 准教授(任期付) (60759314)
市嶋 典子 秋田大学, 高等教育グローバルセンター, 准教授 (90530585)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 実践研究 / 協働的評価 / 実践当事者 / 対話 / 日本語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、教師が自身の教育実践の改善をめざして行う実践研究に学習者が当事者として能動的に関与し、教師と学習者が実践を協働的に評価するための方法論を構築することである。本研究では異なる教育現場をもつ教師3名が、互いの実践に協働参与者として関わり、実践の分析、評価を協働で行っている。 2019年度は、昨年度の成果(実践研究論文のレビューによる実践評価のために必要な要素の抽出)を踏まえ、教師間で対話による協働的実践評価を試みた。まず、互いの実践の文脈・背景を理解するために相互大学訪問(授業参加、施設見学、フィールドトリップへの同行等)を実施した。次に、評価の対象となる授業のデータを共有し、教師の「迷い」、教師と学習者の「ずれ」に着目して、対話による協働的評価を行った。この評価のプロセスを通して教師が得た気づきは下記のようにまとめられる。 1. 実践の文脈と「迷い」の言語化が実践の改善につながる可能性、2.教師が設定した「枠」に収まらない学びの存在、3.教師・学習者双方が思考と価値観の「枠」を越える必要性とその限界。教師・学習者それぞれが表明する「迷い」や「揺れ」は、学習者と教師のズレ、すなわち、価値観の違いや当該授業に対する評価のズレを示しており、このズレの意味を内省することが学習者と教師の双方にとって重要な学びとなる。 なお、学習者の授業に対する評価観点を抽出するために、2019年度の授業履修者に対しても昨年度と同様のインタビュー調査を実施した。今後は学習者の評価と合わせて分析をさらに進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教師間の対話による協働的評価により、実践に対する問題意識の共有がなされ、他の教師の評価観点から自身の実践を振り返ることはできた。しかし、協働的評価で得られた気づきを次の実践にどうつなげるか、具体的な授業デザインの修正については検討中である。また、学習者の評価観点の抽出方法の検討および、その評価分析が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、三段階のステップを踏む。第一段階は、教師間の問題意識の共有と、協働による実践デザイン、第二段階は実践の分析、第三段階は協働実践の評価と学習者参加型実践研究モデルの策定である。 2020年度は、COVID-19の影響により、研究の進め方を大きく変える必要が生じる。研究対象となっている授業のオンライン化によって、授業デザインや評価の枠組みに変更が生じ、他の教師の授業参与もオンラインのみとなる可能性もある。2019年度の協働的評価で得られた観点をオンライン授業においても実現できるのかを検討し、授業参与の方法も工夫する必要がある。そのうえで、教師間の協働的評価は持続できるようにし、これまで得られたデータの分析を進めていきたい。学習者の多様な評価観点を抽出し、教師の評価観との比較分析を中心に行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、学会発表が中止になるなど、出張旅費を予定どおり使用することができなかっため、次年度使用額が生じた。状況が好転次第、相互大学訪問(授業参与)、学会発表等の旅費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)