2021 Fiscal Year Research-status Report
実践当事者による協働的評価をめざす学習者参加型実践研究
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18K00716
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
広瀬 和佳子 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (60711752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寅丸 真澄 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 准教授 (60759314)
市嶋 典子 秋田大学, 高等教育グローバルセンター, 准教授 (90530585)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学習者参加型実践研究 / 協働的評価 / 授業評価 / 対話 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、異なる教育現場をもつ3名の教師が、互いの教育実践に協働参与者として関わり、教師・学習者・協働参与者の視点から授業を多面的に分析することで、学習者を含む実践関係者が現状を評価し、実践改善を協働的に行うための条件や環境を明らかにすることをめざしている。2021年度も外部者の授業参与が困難な状況が続いたため、これまでに収集したデータおよび新たに収集した学習者による評価データのみで分析を進めるとともに、授業参与を必要としない教師間の協働的評価の方法を模索し、その途中経過を発表した。 データ分析を通して、本研究における協働的評価を「教育実践を改善するために、実践関係者が、実践の目的・方法・過程及び結果について話し合い、改善のための方針・方策について合意を得ること」と定義した。協働的評価において、教師・学習者・協働参与者は互いに評価し合う関係にある。学習者は自身の学習状況を自身で評価し、仲間の評価および授業評価を行う。協働参与者も、他者の実践を評価することで、教師としての自分自身を評価する視点を持つことが促される。このような評価が教師・学習者・協働参与者に与える影響について分析した。 また、協働参与者が授業に参加できないことから、過去の授業を対象として協働的評価を行うことを試みた。具体的には、それぞれ印象に深く残っている実践を選び、印象に残っている理由や、相手と議論したい論点を明確にするために、教室データを引用しながら各自実践のエピソードを書いた。このエピソードを基に、互いの解釈や実践の意義について対話し、対話を踏まえたうえで、エピソードを再分析した。このようなエピソードの記述は実践のリアルさや重層性を再現することを可能にし、対話によるエピソードの分析は教師に実践の意義や課題をより深く考察させた。今後はこのような実践共有の意義と可能性についてさらに検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
学習者の評価に関する分析は進んだが、具体的な評価活動として提示するまでには至っていない。協働参与者の評価については、現在進行中の授業に関与することができない状態が続いたため、当初の計画とは異なる方法での協働的評価を考える必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、これまでの研究成果を総括し、実践当事者による協働的評価の意義を提示したいと考える。また、データを基盤としながらも記憶にしか残っていない実践のありようをエピソードとして記述し、実践者間で共有し、対話することの可能性を探っていきたい。協働参与者による評価の分析では、実践者が自身の実践の価値を他者理解が得られる形で言語化できなければ、実践外部からの協働的評価は困難となることが分かった。実践者が自身の実践を記述し、記述を基に対話する評価のあり方を検討していく。
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Causes of Carryover |
共同研究者と対面で協議できたのが1回だけであり、学会発表の形態もオンラインに変更され、次年度使用額が生じた。2022年度は、状況が好転次第、旅費として使用したい。
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Research Products
(3 results)