2018 Fiscal Year Research-status Report
失語症者と日本語学習者に対する動詞及び格助詞の習得法の開発~双方の特徴を生かす~
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18K00729
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
宮本 恵美 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (80623511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 良二 熊本県立大学, 文学部, 教授 (30218672)
大塚 裕一 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (70638436)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 失語症者 / 日本語学習者 / 格助詞 / 動詞 / 意味用法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、言語情報処理や意味ネットワークの視点から「失語症者」と「日本語学習者」の格助詞及び動詞習得の誤りのメカニズムの分析を行った調査をもとに、今後、双方に実施する格助詞と動詞習得に必要な訓練(教育)課題の作成を行った。具体的には、動詞については基本語データベース語義別単語新密度及び日本語多義語学習事典を用い、親密度や意味用法による選択基準を検討し決定した。そして、その選択基準をもとに使用する動詞を選択し、課題文を作成した。格助詞については、森山(2008)を参考に、中心的意味用法から周辺的な意味用法へ移行する各項目の課題文を作成した。また、課題文の作成にあたっては、用いられる名詞の親密度などを調整し、日本語の構文としての不自然さを排除した。さらに、聴覚的把持力、場面なども考慮した。 上記の課題を用いて訓練、教育を実施し、その効果を双方の分野で言語情報処理や意味ネットワークの視点から考察することにより、格助詞及び動詞の教育・習得訓練のモデル化とその検証が可能となる。そして、双方の分野における新たな教育・習得訓練の提案が可能となると考える。最終的には動詞・格助詞のみならず、その他の品詞の課題習得にも応用できるモデルの開発にも結びついていくと考えられる。 本年度は、軽度失語症者及び韓国語母語話者、中国語母語話者に対して、平成30年度に作成した課題文を実施する。そして、その結果をもとに、失語症訓練や日本語教育のモデル化と検証を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は、「失語症者」と「日本語学習者」の格助詞及び動詞習得の誤りのメカニズムの分析を行った調査をもとに、今後、双方に実施する格助詞と動詞習得に必要な訓練(教育)課題の作成を行った。初年度は、失語症者及び日本語学習者に対し作成した課題を実施する予定であったが、被験者の確保に時間を要したため、課題は実施できていない状況である。今年度は、調査の依頼先を広げ、調査を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、県内の病院施設4施設の言語聴覚士、また、県内2名の日本語教師に作成した課題を実施することについて承諾を得た状況である。当初は、初年度に課題実施の結果データを収集する予定であったが、実施できなかったため、今年度は双方並行して、研究調査を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度は、失語症者及び日本語学習者に対し作成した課題を実施する予定であったが、被験者の確保に時間を要したため、課題は実施できていない状況となった。そのため、人件費や謝礼、物品費や消耗品などの予算が未使用となり、次年度使用額が生じる結果となった。2019年度は、軽度失語症者20名及び韓国語母語話者10名、中国語母語話者10名に対して、平成30年度に作成した課題文を実施する。そして、その結果をもとに、失語症訓練や日本語教育のモデル化と検証を行っていく予定である。
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