2020 Fiscal Year Research-status Report
失語症者と日本語学習者に対する動詞及び格助詞の習得法の開発~双方の特徴を生かす~
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18K00729
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
宮本 恵美 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (80623511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 良二 熊本保健科学大学, 保健科学部, 研究員 (30218672)
大塚 裕一 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (70638436)
小手川 耕平 熊本保健科学大学, 保健科学部, 助教 (40832001)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 単語親密度 / 動詞 / 失語症 / 日本語学習者 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、令和元年度に実施した被験者(日本語学習者16名及び失語症者1名)に加えて、軽度失語症者19名及び日本語学習者4名に対して、継続して評価課題及び訓練課題を実施する予定であった。しかし、当該年度は、新型コロナウィルス拡大の影響を受けて、予定よりも対象となる被験者数が少なく、且つ、格助詞の課題を実施することは困難な状況であった。 そのような中でも、動詞の研究については、一定の結果が得られた。失語症者15名に対し、動詞の理解力を,親密度からの意味分類を導入した多義性の視点から評価した。対象は軽度から中等度の失語症者15名で,方法は自動詞と他動詞の多義動詞を用いた。多義動詞の持つ意味をなじみの深さで高親密・中親密・低親密の3段階に分類した。結果,課題の正答率は高親密の意味理解が最も高く,次いで中親密の意味理解であり,低親密の意味理解が最も低い結果であった。また,自動詞と他動詞で分類した視点でみた場合,自動詞は,それぞれの親密度別の意味理解の正答率に差は認めなかった。しかし,他動詞は,高親密の意味理解と低親密の意味理解の正答率の間に有意な差を認め (p<0.01),また中親密の意味理解と低親密の意味理解の正答率の間に有意な差を認めた(p<0.05)。このことより,軽度から中等度の失語症者における,多義語の動詞の理解力には,階層性がある事が推察された。 本年度は、昨年度よりも被験者数をさらに増やし、継続して動詞及び格助詞の評価課題及び訓練課題を実施する。そして、その結果をもとに、失語症訓練や日本語教育のモデル化と検証を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の被験者となる対象者は日本語学習者及び失語症者である。令和2年度は新型コロナウィルス感染拡大を受けて、協力していただくことのできる被験者が減少したため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は新型コロナウィルス感染拡大を受けて、協力していただくことのできる被験者が減少した。本年度は、日本語学習者に関しては、研究協力者(日本語教師)と早期から連携を取りつつ、研究遂行にあたって十分な感染対策を講ずることで対象となる被験者が安心できる環境を整えていきたいと考える。また、失語症者に関しては、病院に勤務する言語聴覚士の研究協力者を増やすことで被験者数を確保し、継続して動詞及び格助詞の評価課題及び訓練課題を実施する。そして、その結果をもとに、失語症訓練や日本語教育のモデル化と検証を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
令和2年度はコロナウィルス感染拡大のため、予定よりも被験者数が少ない状況であり、研究が遅れていることがあげられる。また、動詞に関しては研究成果を学会にて2題報告したが、双方とも現地開催ではなかったことから旅費が発生しなかったことがあげられる。(誌面上での報告とリモートでの報告)。
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