2020 Fiscal Year Research-status Report
学習者の母語の事態把握が英語スピーキングに与える影響:認知言語学の観点から
Project/Area Number |
18K00772
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
長 加奈子 福岡大学, 人文学部, 教授 (70369833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Tomei Joseph 熊本学園大学, 外国語学部, 教授 (50310032)
竹安 大 福岡大学, 人文学部, 准教授 (80585430)
林 幸代 熊本学園大学, 経済学部, 准教授 (00609464)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 英語教育 / 事態把握 / 認知言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの英語と日本語の比較研究において,英語は出来事の参与者である「モノ」と「モノ」の関係をベースに出来事を表現するのに対し,日本語は「場」を設定してから出来事を表現するという出来事のとらえ方(事態把握)の違いが明らかになっている。このような違いにより,英語を学習する日本語を母語とする学習者は,There構文の過剰使用のように「文法的ではあるが英語らしくない英語」を多く産出してしまう原因となっている。 令和二年度は,英語のグラウンディング要素である時制に着目し,さらなる分析を行った。英語は発話時を基点に動詞は主節・従属節ともに客観的な時間軸に沿って,過去・現在(・未来)を明示する。一方,日本語には発話時を基点とする客観的時間軸は存在しておらず,日本語の「ル」「タ」は現在と過去を表していない。これらの知見を基に,本研究で収集したデータに対して,特に,多くの動詞が学習者より産出された「話す」と「盗まれる」という2つの出来事に着目して分析を行った。その結果,日本語を母語とする英語学習者は,日本語の事態把握に基づいて英語を発話しており,出来事が未完了であると認知される場合に現在時制で,完了していると認知される場合に過去時制で表現していることが明らかとなった。そのため,日本語を母語とする学習者は,英語の発話時を基点とする客観的な時間軸に基づいて英語の時制を用いるということが出来ておらず,時制の誤用が多く観察された。令和二年度の分析で対象としたのは,「話す」と「盗まれる」という2つの出来事のみであったが,今後,様々な出来事を表す動詞を分析することで,事態把握のかい離をより広範に見ていく必要があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究最終年度として比較データとなる日本語を母語としない学習者のデータの収集を進める予定であったが,新型コロナの影響により海外への出張が軒並み中止された結果,海外での十分なデータ収集ができなかった。研究期間を1年延長し,遅れた分の研究を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナが収束しない状態で海外に出向いてのデータ収集の実現は現実的ではないと考えている。またオンラインのデータ収集については昨年度検討したモノの,収集する環境の相違等が発生し,均質的なデータを収集することは容易ではないと判断した。以上の検討の結果,今年度は,現在,手元にあるデータに対して,さらなる分析の観点を加えて分析を進める予定である。また昨年度は,学会が軒並み中止になり,発表の場がなくなったが,今年度はオンラインで開催される学会が増えている。本研究の研究成果を学会発表や論文等で積極的に公表を行い,他の研究者と意見交換を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響により,データ収集のための海外への出張が不可能となったこと,また参加予定の学会が中止となったこともあり,当初の予定の予算が執行できなかった。今年度は,当初予定になかった新たな観点を分析の観点として追加する予定であるため,それらに関する文献や資料等の購入を行う予定である。
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Research Products
(4 results)