2021 Fiscal Year Research-status Report
Developing English as a Lingua Franca (ELF) in multicultural classrooms
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18K00775
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 悦子 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (70600659)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リンガフランカとしての英語 / ELF / 多文化クラス / 留学生との協働 / 大学授業の英語化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本の大学の留学生と日本人学生が共に学ぶ英語での多文化クラスにおいて、日本人学生の英語使用に関して留学生に比べてうまくコミュニケーションできていない傾向を認識し、その原因と考えられる自己表明への抵抗感や方略の欠如を克服し、改善する方策を探究することである。 2021年度においても2020年度に引き続き、新型コロナ感染拡大の影響が大きく、停滞した部分もあったが、研究期間延長が認められたことで、総括の見通しが立った。 当初からの目標としていた国際論文誌へ、一本の査読論文を掲載することができた。論文においては、英語による多文化クラスと日本語による多文化クラスにおける日本人学生の言語行動に焦点を当てて分析した。インクルーシブなコミュニケーションという意味では、英語による多文化クラスよりも日本語による多文化クラスのほうが、達成に近い感触があり、その要因として母語話者である日本人学生の言語調整行動が優れていたことが考えられる。よって異文化間コミュニケーションの成立においては、必ずしも言語能力や言語運用力だけが決定要因となるのではなく、外国語を使ってコミュニケーションすることへの心理的な言語障壁を下げることや、他者への寛容な態度や心構えが重要であるという示唆を得た。 リンガフランカを目指す教育は、母語話者、非母語話者の双方を対象とする必要があり、言語的スキルやコミュニケーションストラテジーの改善を追及することよりも、マインド中心の異文化間コミュニケーション力を教育に含めていくことが重要であるという議論を展開した。 2021年度においても発表を予定していた国際学会がキャンセルされて口頭発表は実施できなかったが、2022年度にそのフォローを行い、当科研費研究の総括段階に入る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度、2021年度に渡り、新型コロナ感染拡大の影響によって、多文化クラスの実施、海外国際学会での口頭発表の実施が不可能になったが、結果的には1年ごとに2年間の延長を行うことによって、また当初の計画を多少変更することにより、当科研費研究実施期間内に一定の成果を出すことができ、総括の段階に入ったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には2022年度は当科研費研究の最終年度とし、最終総括の段階に入る。 これまでに発表した成果には含められなかった点を一件、国際学会において発表する予定である。またほぼ執筆が完成している一本の論文を国際論文誌に投稿予定である(国際論文誌の査読から掲載までのプロセスの期間は非常に時間がかかるので、おそらく研究期間内に掲載の段階までは達しないと予想される)。 2021年度より、複言語主義を主題とした多文化クラス対象の新規科研費研究を開始しており、当科研費研究との関係性や、当科研費研究から得られた示唆をどのように新規科研費研究のほうに引き継いでいくかについても慎重に検討を行う。
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Causes of Carryover |
当初、発表を予定していた国際学会が、新型コロナ感染拡大のためにキャンセルとなり、旅費の支出がなかったことが大きい。 2022年度以降は、それを取り返すべく、海外での国際学会での発表の機会を増やし、実施していく予定である。 ほぼ書き上げた論文一本は投稿までは2022年度中に可能であるが、採択された場合のオープンアクセスなどの経費の支出も見込まれる。 新型コロナ感染拡大の悪化による研究期間延長ができたことによって、多少の軌道修正の上、生じた遅れの調整をすることができ、2022年度は当研究の終了年度として、残高の使用も集大成の作業の一部として、余念なく行う予定である。
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Research Products
(1 results)