2018 Fiscal Year Research-status Report
Devising a methodology and teaching materials to develop critical thinking based on the Toulmin Model
Project/Area Number |
18K00803
|
Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
椎名 紀久子 名古屋外国語大学, 外国語学部, 教授 (40261888)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 希望 名古屋外国語大学, 現代国際学部, 准教授 (10726855)
森川 セーラ 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (80506882)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 批判的思考 / トゥールミン・モデル / 体系的論理的指導 / 言語・異文化・歴史 / 文章・図版・動画 / 日本語(母語)教育 / 英語教育 / 日本語と英語による批判的思考力育成用教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究初年度であることから、研究計画調書で明記した研究の意義、目的、研究内容、研究の進め方等について、研究者間で再度議論をして精査したうえで、相互の役割分担と研究日程を確認し、発展的な議論を行った。また、経費の配分や、年度内での使用の計画についても、事前に話し合って決定した。 はじめにクリティカル・シンキングの重要性と本研究の意義を再確認し、本研究におけるクリティカル・シンキングの定義をとりあえず「複数の視点から他者の意見を理解し、自己の考えを客観的に精査して論理的に思考すること」と確認しあって、研究を進めた。 本年度は第一に、クリティカル・シンキングについての内外でのこれまでの研究成果を点検し、本来議論のための技法として提案された「トゥールミン・モデル」を、クリティカル・シンキング力養成のためのツールとして活用することの有効性を検討した。その際、同モデルが提案されて以後、ポスト・モダンの議論が出ていることを考え、同モデルをヴァージョンアップする必要も確認した。第二に、言語・異文化・歴史のジャンルから、クリティカル・シンキングに適用できる命題を取り上げて、「トゥールミン・モデル」をどのように活用できるかを具体的に研究した。具体例は日常の生活レベルから、国際政治にいたるまで多様に網羅してみた。また、日本語だけでなく、英語での議論を同モデルに適用するケース、ならびに文章だけでなく図版や動画を材料にして考えるケースも検討した。そして、第三に高校生・大学生・社会人を対象に、多角的な媒体(文章・図版・動画)を通して、批判的思考のプロセスを可視化した教材を日本語と英語で作成するには、どのような方式があるかを、準備的に研究した。これは次年度の研究の中心となる部分である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一に、クリティカル・シンキングに「トゥールミン・モデル」をヴァージョンアップしながら活用する方法については、今年度に十分な研究成果を上げることができた。 第二に、言語・異文化・歴史のジャンルから、クリティカル・シンキングに適用できる命題を取り上げて、「トゥールミン・モデル」に当てはめるという作業については、日常の生活レベルから、国際政治にいたるまで20ケースほどを網羅してみたが、もう少し、分野の偏りを是正したい。また、日本語だけでなく、英語での議論を同モデルに適用するケース、ならびに文章だけでなく図版や動画を材料にして考えるケースも検討したが、とくに動画のケースを充実させることが必要である。 第三に、クリティカル・シンキングのプロセスを可視化した教材を日本語と英語で作成する作業は、その準備の研究をした程度であるが、今年度にここまでできるとは予想していなかった。研究はおおむね順調に進んでいると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度の成果を受けて、具体的な教材化のための研究を行う。①今年度に集めた、教材化するためのコンテンツの追加収集と整理、②英語のコンテンツの作成、③図版と動画のコンテンツの作成である。①は夏休み前に作業を終え、秋以後は②と③を中心に行う。これらの作業と並行して、日本語と英語のバイリンガルの教材の作成方式についてのサンプルも収集し、適切な方式を選定していく予定である。特に教材の設問と解答の方式については、慎重に検討する必要があると考えている。 今年度も、椎名を統括者および英語分野の担当とし、森川が異文化、後藤がメディア、そして南塚が歴史の分野を担当する体制で研究を進めるが、椎名は教材化の具体像の検討の責任をも担当する。
|
Causes of Carryover |
2018年度にクリティカル・シンキング養成用の動画をNHKなどから借用または購入する予定で、担当の研究分担者(後藤)に総額40万円を割り当てた。しかしながらNHK他との交渉が本年度中には成立しなかったため、来年度に繰り越すことにした。動画入手が来年度になったことから、動画の音声起こしやデータの入力作業をする人件費も来年度に持ち越しすることにした。
|
Research Products
(7 results)