2018 Fiscal Year Research-status Report
Assisted Reading: Bridging the Gap between Intensive Reading and Extensive Reading
Project/Area Number |
18K00844
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
田口 悦男 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (60255974)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | reading fluency / repeated reading / extensive reading / L2 reading / scaffolding / reading rate / reading comprehension / assisted reading |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、多読が普及する一方で、多読に効果的に取り組めない学習者や、上級者であっても、外国語による読書を愉しむレベルにまで到達するケースは少ない(Taguchi, 2017)。本研究の目的は、読みの流暢さの発達を促すAssisted Reading(AR)(Taguchi et al., 2016)の効果検証を行うことである。研究代表者は、Repeated Reading (RR)を導入する際に研究者・教師に労力と時間の負担がかかるため、科研費によりRRのオンラインプログラム(仮称 Web R2)をIT企業の支援を受けて開発し、一般公開の準備を進めている。この教材を使用し、「音声」と「繰り返し」という、リーディングを支援する「足場掛け(scaffolding)」を提供し、自立し、外国語による読書を愉しむ第二言語の読み手を育成する方法を検証する。2016年に英語非専攻の大学1年生を対象に予備研究を実施し、1) 黙読平均語数が101.36 wpm (SD=9.16)から130.96 wpm (SD=12.49)に、2) 理解度も46.00% (SD=5.19)から59.20 (SD=7.16)に伸びたこと、また、理解度の高い上位グループと下位グループの伸長パターンの違いの分析から、伸び率が緩やかな下位グループに対し、上位グループでは、加速度的な上昇パターンが観察されたことから、Web R2の研究利用が可能であることを認識した。2018年度は、Web R2と多読テキストPager Turnersを併用し、ARの効果検証を進める予定であった。しかし、コンテンツを提供予定であったテキサス工科大学グレタ・ゴーサッチ教授のコンテンツ準備が時間を要した。予算の都合から、コンテンツ準備とシステム改善を同時に行わなければならなかったため、2019年度に先送りすることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本プロジェクトには、長年読みの流暢さの研究に関わり、優れた研究成果を上げている2人のアメリカ人が研究協力者として参加している。研究代表者の長年の共同研究者であるテキサス工科大学Greta Gorsuch教授、そして、第一言語と第二言語の読みの流暢さの研究に長年携わり、読みと第二言語習得との関係について優れた著作のあるNational Louis大学のKristin Lems教授である。 現在のWeb R2のコンテンツは限られており、多様な学習者のレベルや興味に対応できていないため、テキサス工科大学Greta Gorsuch教授と共に、コンテンツ拡充を進めている。さらに、語彙研究で著名なPaul Nation NZビクトリア大学名誉教授が作成したSpeed Reading教材も開発者の許諾を得て、本プロジェクトで使用することが可能となったため、その音声データを作成済みである。本プロジェクトでは、コンテンツの拡充とプログラムの改良を図り、プロジェクトHPを通して、他の研究者が無料で使用できるように一般公開をする予定である。コンテンツの拡充の準備状況については、Paul Nation NZ国立ビクトリア大学名誉教授とその同僚が作成したSpeed Reading教材テキストについては使用許諾に基づき、ナレーション音声データを既に作成してある。また、共同研究者のテキサス工科大学Greta Gorsuch教授が自ら作成したテキスト、及び録音した音声データがあるが、まだ作成途中であり、すべての作品の完成までにはもう少しの時間を要する見込みである。システムの改善とコンテンツの拡充はすべて準備が整った段階で技術支援を得ているIT企業に依頼をするのが予算執行上望ましいので、2018年度に計画をしていた作業を2019年度に先送りし、実施することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在Web R2に搭載の準備を進めている拡充のためのコンテンツについては、上述したようにPaul Nation NZ国立ビクトリア大学名誉教授とその同僚が作成した” Asian and Pacific Speed Readings for ESL Learners” (Quinn, Nation, and Millett, 2007)と研究代表者の共同研究者であり、本プロジェクトの研究協力者であるテキサス工科大学グレタ・ゴーサッチ教授が作成するストーリー、及びそれに付随するテキスト音声である。前者は英語を母語とし、音声吹き込みの経験豊かなアメリカ人女性に依頼し、既に完成済みである。後者はグレタ・ゴーサッチ教授自身がアメリカAudible社のナレーションを担当するプロのナレーターであるので、自身が創作した作品を自身で録音することができる。完成には2, 3か月要する見込みであり、費用を抑えるために、その完成を待ってシステム改善とコンテンツ拡充を一度に進める予定である。 この改善・拡充したオンラインプログラムと市販の多読テキストを併用し、Assisted Reading(AR)の効果検証を行う。研究代表者は、Repeated Readingのオンラインプログラム(仮称 Web R2)について、これまでの運用から読みの回数の設定、コンテンツ拡充が複雑であることなど、幅広い運用レベルや興味を持つ学習者に対応できない問題点が生じてきた。多用な学習者を擁する授業での活用への利便性を高めるためにシステムの改良とコンテンツの拡充を行い、その後、改良・拡充したプログラムを試行運用し、バグ等を修正した上で、研究データの収集・分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
現在Web R2に搭載の準備を進めている拡充のためのコンテンツについては、上述したようにPaul Nation NZ国立ビクトリア大学名誉教授とその同僚が作成した” Asian and Pacific Speed Readings for ESL Learners” (Quinn, Nation, and Millett, 2007)と研究代表者の共同研究者であり、本プロジェクトの研究協力者であるテキサス工科大学グレタ・ゴーサッチ教授が作成するストーリー、及びそれに付随するテキスト音声である。前者は既に完成済みであるが、後者はグレタ・ゴーサッチ教授自身が創作した作品を自身で録音することになっているが、主編集者として進めている第二言語によるテスティングの研究書の編集作業に多大の時間が割かれ、計画通りには進まなかった。 すべての作品が完成するにはさらに2, 3か月要する見込みであり(2019年4月時点)、費用を抑えるために、その完成を待ってシステム改善とコンテンツ拡充を一度に進める予定である。
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