2022 Fiscal Year Research-status Report
An investigation into English spelling cognitive processes for literate Japanese English learners and effective learning methods
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18K00855
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Research Institution | Kanazawa Professional University of Food Management |
Principal Investigator |
川崎 眞理子 かなざわ食マネジメント専門職大学, フードサービスマネジメント学部, 教授 (30779989)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 英語綴り力 / 日本語識字力 / ディコーディング |
Outline of Annual Research Achievements |
英語の綴りは世界の言語中で最も複雑であるが、7割は何等かの規則に従っている。しかし不規則であることが注目されすぎ、また日本語のひらがなの規則性が高く、就学前に識字ができてしまうこともあり、外国語としての英語の読み書きの学習や発達については研究が乏しかった。とりわけ綴り力については、丸暗記で対応している学習者が多く、わずかのみが規則性に気づいている状態であろう。存在しない単語を聞いて、アルファベット文字を入力するタスクでは、明らかにローマ字規則による誤答があったが、①音声を聞いた時点で日本語の音韻体系に自動変換して「聞き取っている」、②正確に英語の音韻として聞き取っているが「英語綴りの規則を使えない」、のいずれが主因か不明であった。そこで、音声とは切り離し、英語の綴りの仕組みをどれだけ修得しているかを探ることにした。指導を受けた結果の知識と無意識に取得した知識の区別は難しいが、日本の中学高校での英語教育の影響を明らかにすることができると考えた。綴りの知識は広くは正書法知識であるが、英語圏では、早期(小学校時)の正書法知識が後の読む力を予測すると報告されている。英語圏の正書法知識を測定する各種テストを検討し、TOC(正書法知識テスト)-2を使用し、英語圏の標準スコアとの比較と語彙力との関連を探る計画を立てた。一方で、正書法知識・読みの流暢さなどに寄与する多読活動の効果検証として音読速度との関連を分析した。音読が速いということは、文字を音声化すること、ひいては文字と音の対応規則を知っていてかつ迅速に運用できるということが大前提である。さらに認知スタイルのアンケートと、場依存・独立テストを課して、読破語数との関連を調べた。変数のいずれにも有意な相関は見られなかったが、認知スタイルの測定方法の精査を行い、綴り規則への気づきの仕組み・個人差・その要因の探究が課題であろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
学習者を心理学行動実験の対象者とし、個別にタスクを実行してもらいデータを収集する研究であるが、大学内での協力者調達が不可能な環境にあったため、並びに大学運営にエフォートを割かざるを得ない状況で、計画していた実験が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、実験協力者の調達が困難を極めているが、外部機関への協力要請や不特定多数からWEB上でデータを集める手法などを検討し、計画していた実験を行う。具体的には、大学生を対象とし、TOC-2(母語話者用汎用標準化正書法知識テスト)のスコア、語彙力の指標、音読(文章と非単語)の正答率と潜時をデータ化、変数として変数間の相関ならびに重回帰分析により、正書法知識を説明する因子の特定を試みる。 最終年度でもあるので、これまでの文献調査、テストの検証、実験結果の整理にも取り組み、英語教育、とりわけ早期英語教育で留意すべきことや重点的に取り組むべきことなどの考察を行う。
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Causes of Carryover |
実験を計画したが、実験協力者が学内で調達できず、学外でのデータ収集の機会・時間ともになかったために実験ができず、謝金が発生しなかった。加えて、学会のハイブリッド開催が多く、旅費も予定より支出しなかった。
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