2022 Fiscal Year Research-status Report
先駆的英国人日本学者による和書の蒐集・活用・譲渡-「海外流出和書研究」に向けて-
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18K00931
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
乕尾 達哉 鹿児島大学, 法文学部, 名誉教授 (30164065)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サトウ / アストン / チェンバレン / アンダーソン / 和書 / 大英博物館 |
Outline of Annual Research Achievements |
・愛知教育大学附属図書館において、チェンバレン旧蔵和書のうち、アーネスト・サトウ旧蔵にかかる「往代希有記」「豊葦原神風和記」「天照坐豊受皇太神宮神徳略記」「外宮法式大概目録」「祓勤仕儀式」「豊受大神宮殿舎考証」「皇太神宮殿舎考証」「年中行事 外宮」「古学二千文読例」「春秋命歴序考」「神祇要編」「中臣祓旧伝」「神代巻直指詳解」を調査し、サトウの蔵書印の有無とそのタイプを確認した。
・京都大学附属図書館において、サトウ旧蔵の「イエズス会報」を一部調査し、これらがサトウの在江戸英国公使館在職中の蔵書であることを示す貼紙を確認するとともに、サトウが通常和書に捺していた蔵書印は捺されていないことを確認した。
・大英図書館において、サトウ旧蔵和書のうち、「節用集」「続錦繍段」「新刊多識編」「水鳥記」「東草集」「祖庭事苑」「諸天伝」「大蔵経綱目指要録」「住吉物語」「印図」「源氏物語」「古言悌」「日本書紀講述鈔」「絵入はちかづき」「蒔絵大全」「梵文阿弥陀経諸訳互証」「とりかへばや物語」「三国通覧図説」「近松正本集」を調査し、サトウの蔵書印の有無とそのタイプ、大英博物館の受入れ印を確認した。これらの和書の寄贈(売却)がサトウ本人によるもの、アンダーソンに譲渡されたのちに寄贈されたもの、パットン牧師に譲渡されたのちに寄贈されたもの(仏教関係)によって構成されていることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度および2021年度に引き続き、2022年度も新型コロナによる世界的規模での疫禍のため、本研究課題の主たる研究調査フィールドである英国への渡航ができず、年度末近くになって国内外の感染状況がやや落ち着いた状況となってようやく英国への渡航調査が実現した。しかし、累積した遅れを取り戻すにはいたらず、とくに大量のサトウおよびアストンの旧蔵和書を蔵するケンブリッジ大学図書館には当該年度中に訪問することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度が最終年度であったが、上記のような理由で研究の大幅な遅れが生じたので、研究計画を1年延長し、2023年度にケンブリッジ大学図書館での研究調査を実施し、先駆的英国人日本学者による和書の蒐集・活用・譲渡について、その実相を明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
本研究課題は2022年度が最終年度に当たっていたが、新型コロナによる世界的規模での疫禍により、本課題の主たる研究調査フィールドである英国への渡航が2020年度より事実上不可能となり、海外旅費分の繰り越しが累積した。ようやく2023年度末近くになって、感染状況が落ち着き、英国への渡航が可能となったが、研究に大きな遅れが生じてしまったので、研究計画を1年延長し、繰り越し分を2023年度の英国での研究調査のための旅費として使用する計画である。
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