2018 Fiscal Year Research-status Report
A Fundamental Study on the Funeral and Grave System in the history of Ryukyu
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18K00981
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
宮城 弘樹 沖縄国際大学, 総合文化学部, 講師 (70757418)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歴史考古学 / 琉球史 / 墓 / 厨子 / 出土人骨 / 銘書 / 葬墓制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は琉球列島の発掘墓資料を歴史研究資料として昇華させ、墓から見た琉球史の再構築を目指すことを目的とする。このため、琉球の墓を対象に次の4つの資料収集を計画した。遺跡調査されている(1)琉球墓、(2)厨子(蔵骨器)、(3)銘書、(4)人骨など「琉球墓」資料を、考古学、文献史学、美術史、民俗学、人類学の垣根を越えて資料化することを目指しており、本年度は主に(2)厨子、(3)銘書、(4)人骨をエクセルに打ち込み一覧表の作成するとともに、代表的な資料を実見した。また、厨子については、図化資料を主としてデータシートを作成し研究者間で共有している。なお、これらの作業はアルバイトを雇用し資料情報を集約した。 本研究の目的が、考古学、文献史学、美術史、民俗学、人類学の垣根を越えて資料化し新しい琉球史を描くことを目指しており、資料化にあたっては単に考古学分野だけの資料化にならないようにするためにも、定期的に研究会を開催し情報交換の場を設けている。今年度は、3回研究会を開催した。研究会の期日とテーマは以下のとおりである。平成30年度第1回研究会:2018年8月28日(火)『骨に残されたライフヒストリーと近世期琉球の災害・飢饉』。第2回研究会:2018年12月1日(土)『考古学からみた琉球列島の墓制』。第3回研究会:2019年3月24日(日)『墓石調査の視点と方法』 あわせて、実際に以下の現地調査等を実施した。(1)伊是名調査。(2)東京打ち合わせ会議及び資料調査。(3)平安座島トゥダチ墓の調査。(4)浦添市歴史にふれる館所蔵人骨調査。(5)那覇市・浦添市内琉球墓調査。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料整理作業において(1)遺跡の一覧。(2)厨子の一覧及び画像データシートを作成することができたが、(3)銘書、(4)人骨は作成の途中で未完成である。 本研究において重要と位置づけた、実地調査については地元の協力を得て、考古学のみならず民俗学や形質人類学、歴史学の研究者とともに実践することができた。本調査は、予備的調査の性格が強かったが、予想以上の成果を得る事が出来たため、所有者と調整を図り、隣接する関連の墓室の調査を次年度に計画している。 一方、銘書の紀年銘資料と人骨を用いた分析を計画したが、選定した遺跡の資料が当初期待していた以上に資料の保存状態が悪い事が実地調査によって明らかになった。このため、人骨の調査においては、今一度分析可能な出土人骨の選定を行う予定である。 なお、研究が低調であった御殿形厨子の編年研究については、紀年銘資料を集成し、おおよその編年的枠組みを提示することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
銘書は現在エクセルデータにまとめ入力の途中である。しかし厨子の銘書はその記載方法の統一性が乏しく、本研究においてこれらの記載方法について一定の標準化を図ることを企画する必要があると考えている。これについては、引き続きアルバイトを雇用し、これまでに調査されている銘書データの一覧表を速やかに完成させるとともに、記載方法については琉球史の研究者との意見交換を行い、標準化の確立を目指していきたい。また、銘書に記載された人物については、琉球の家譜史料との比較分析を進め、考古学ではアプロ―チと困難な個人に焦点をあてた研究を行うことを計画したい。 あわせて、厨子に納骨された人骨資料については、分析の対象となる資料の選定を急ぐとともに、収集されたデータから平均身長や平均余命といったビッグデータを用いた動態的な研究を進めていきたい。 研究会で明らかになった地方的なあり方との比較について、現地調査を実施するとともに、奄美や八重山など沖縄本島周辺地域の研究者を招聘して研究会を企画する予定である。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画どおりに執行したが、わずかに残額が生じた。残額も含め次年度も計画に沿って適切に使用したい。
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Research Products
(4 results)