2021 Fiscal Year Annual Research Report
A Research on the Social Composition of the Hunan Region of China in the 3-4th Century
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18K00992
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
安部 聡一郎 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (10345647)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 出土資料 / 長沙走馬楼呉簡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は中国・三国時代(西暦3世紀)を代表する出土資料である長沙走馬楼三国呉簡(以下、走馬楼呉簡と簡称)を材料とし、ア)形態観察に基づく史料研究、およびイ)周辺の歴史的・地理的環境との考量を踏まえ、当該期長沙の社会構成を簡牘・文献の両面から明らかにする。このことを通し、簡牘研究によって文献に基づく従来の歴史理解を深化させ、今後の魏晋期簡牘研究、ならびに古代東アジア書記文化形成と国家形成の研究の上で援用可能な分析手法を提供することを目的とする。 新型コロナウイルス流行に伴い中国での現地調査が実行できない困難な状況の中、研究期間を1年延長して実施した2021年度は、引き続き現地調査以外に実施できる部分として、ア)では第九巻を含めた既刊『長沙走馬楼三国呉簡・竹簡』の史料集成・書式整理および写真版と出土状況の比較考量を実施し、イ)では関連資料の整理と墓葬分布状況の把握、地理状況との関連性の分析を継続しつつ、研究計画の総括を目指した。 第2年度に五代十国期(西暦10世紀)以降の地方志史料等を傍証として活用し、走馬楼呉簡中に出現する臨湘県内の郷の位置関係を部分的に確定する成果を得、第3年度に河川と交通路および郷の関係が接続する先としての臨湘県外の重要地点を丘の分布と関わらせて把握し、そこから窺える当該期長沙社会の位置づけを検討したが、第4年度は第3年度に行った国際シンポジウムでの報告を基礎に、以上の成果を中国語の単著論文として「三国呉荊州地区丘的分布及其性格」(『中国中古史研究』第九巻、2022年待刊)にまとめたほか、所属機関でのワークショップで関連する2件の発表を行った。しかしながら新型コロナの影響により最終年度も中国からの招へいは全く見通しが立たず、また国内で検討会開催の基盤としていた長沙呉簡研究会も休会が続き、オンラインを含め調査先研究者を招いての検討会実施は実現できなかった。
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Research Products
(4 results)