2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K01045
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
後藤 はる美 東洋大学, 文学部, 准教授 (00540379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 慶介 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (00757172)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 公共圏 / メディア / 新聞 / 民衆政治 / 諷刺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、17世紀から19世紀初頭の大衆出版に着目し、それを軸に展開した公共圏の形成と変容過程を、事例研究を通して明らかにすることを目的とする。本年度は新型コロナウィルス感染症の流行拡大の影響から教務負担が激増し、また、海外での史料調査が不可能になったため大幅な計画変更を余儀なくされたものの、研究分担者・正木とZoomを利用した研究打合せを重ね、一定の成果を得た。 とりわけ近年の研究の体系的調査からは、理念系としてのハーバーマス・モデルの射程や、公共圏/公衆の合理性と単一性、公共圏の構造的な限界(排除)の問題が重要な論点として扱われていることが確認できた。また全体として、新たなメディアである印刷出版物を核として形成される公共圏が、近世における民衆の政治動員・政治化のプロセスや、民衆参加型の国家形成において重要な役割を果たしたことが明らかになった。さらに、そうした公共圏のありかたが、ロンドンを中心として発展し特殊イングランド的性格をもつことも、同時期のアイルランドとの比較によって浮き彫りになった。 中間的成果は3月28日にZoomで実施された近世イギリス史研究会例会において、正木との共同研究発表の形で公開した。当日は約60名の参加者を得て活発な意見交換が行われたが、とくに地域/国境を超えた印刷出版物ネットワークとの関係の重要性が指摘された。この点を有機的に取り入れたモデルを構築することが、今後の重要な検討課題となった。 本課題は本来は本年度が最終年度となるはずだったが、研究期間の延長が認められた。2021年度には上記の成果をもとに論文をまとめ、最終的な成果の公刊をめざしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の流行拡大により渡航が制限され、予定していたイギリスでの史資料調査が実施できなかったため。また、オンライン授業導入に伴い教務負担が増加し、研究時間が著しく制限されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間が延長され、来年度が最終年度となるため、2021年3月の共同発表の成果をもとにした雑誌論文の投稿を含め、最終成果の公刊をめざす。
また、本課題を基課題とした国際共同研究加速基金と連携して、海外研究者を招聘した国際セミナーをオンラインにて開催する(2021年6月予定)。
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Causes of Carryover |
研究代表者・分担者ともに新型コロナウィルス感染症の流行のため、海外での史資料調査が実施できず繰越金が生じた。
2021年度も海外渡航の実現は危ぶまれるため、オンラインでの国際セミナーのためのPC等の整備や図書費等での支出に重点的に充当し、計画的に利用する。
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