2022 Fiscal Year Research-status Report
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18K01045
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
後藤 はる美 東洋大学, 文学部, 准教授 (00540379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 慶介 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (00757172)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 公共圏 / メディア / 新聞 / 民衆政治 / 風刺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、17世紀から19世紀初頭の大衆出版に着目し、それを軸に展開した公共圏の形成と変容過程を、事例研究を通して明らかにすることを目的とする。本年度は新型コロナウィルス感染症流行拡大による影響が軽減し、研究代表者・後藤は3年ぶりにイギリスでの在外研究を実現した。滞在中の史資料収集および在英研究者との意見交換をもとにブリテン諸島の「長い革命」の過程における公共圏のありかたと民衆の政治国民化に関する長期的な展望をまとめ、『岩波講座世界歴史 第15巻 主権国家と革命』所収論文として公刊した(後藤はる美「ブリテン諸島における革命」2023年3月)。 研究分担者・正木は、19世紀初頭に隆盛した旅籠や居酒屋における政治的宴会に着目し、「酔いの公共圏」という視点から理性的な討論が公論を形成するとするハーバーマス的公共圏論を再検討した。その成果は『歴史学研究』1033号における小特集「盛り場へのまなざし」への寄稿論文として結実した(正木慶介「19世紀初頭イギリスにおける「酔いの公共圏」)。 本課題は上記のとおり一定の成果を得て、本年度が最終年度となるはずだったが、年度末に予定していた海外研究者の来日が急遽中止となったことなどから、やむを得ず研究期間の延長を申請した。2023年度には16~19世紀イギリスの公共圏のありようの変化の全体像の析出を中心に研究を深め、最終的な成果をまとめることをめざしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年1月に予定していた海外研究者の来日が先方の事情により直前に中止となり、年度内の再調整が困難であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間が延長され、来年度が最終年度となるため、全体像の整理を中心に最終成果をまとめる。また、9月にはロンドンで開催される東アジアブリテン史学会(BEACH)に参加し、在英研究者との意見交換を行う。
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Causes of Carryover |
2023年1月に予定されていた海外研究者の来日が先方の事情で直前に中止となり、年度内の再調整が困難であったため、招へい費の一部をやむを得ず繰り越した。2023年度に当該資金を用いて代表者が渡英し、9月にロンドンにて開催される東アジアブリテン史学会(BEACH)に参加するほか、在英の研究者との学術交流を行い、本共同研究の総仕上げの基盤とする。また、2022年度末に公刊された業績を素材に国内外の研究者との意見交換を行う。
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