2020 Fiscal Year Research-status Report
貝塚時代土器文化の起源と動植物遺体からみた食性・環境の基礎的研究
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18K01068
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| Research Institution | Kagoshima University |
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Principal Investigator |
高宮 広土 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 教授 (40258752)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋泉 岳二 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (20237035)
新里 貴之 鹿児島大学, 総合科学域共同学系, 助教 (40325759)
黒住 耐二 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (80250140)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 貝塚時代前１期 / 植物遺体 / シイ属 / 半川遺跡 / フローテーション |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は貝塚時代土器の起源を探求することと、土器起源時の食性と環境を動植物遺体分析により復元することである。これらの目的を達成するために、奄美大島龍郷町に所在する半川遺跡の発掘調査を実施した。1.5x1.5mのトレンチを設定し、発掘調査を実施した。その結果、２層より兼久式土器（1500年前）、3a層より面縄前提式土器（4000年前）、3c層より無文土器（年代不明）および3d層より爪形文土器・押引文土器（従来のコンテクストでは、6500～7800年前）を回収することに成功し、3d層より出土した土器は奄美・沖縄諸島では貝塚時代前１期であり、最古の土器である。また、3d層では堅果類子葉が肉眼で確認できるほど回収することができた。
植物遺体の回収については、発掘中に肉眼でピックアップできるものはピックアップし、それに加えて各層より土壌をサンプリングし、フローテーション処理を行った。その結果、各層よりシイ属を主とする植物遺体を得ることができた。計804（粒／片）。最も多く検出されたのが3d層であった。動物遺体に関しては、２層より貝類が多少回収されたが、下層では皆無であった。その結果、動物遺体による食性と環境の復元は残念ながら今回はできなかった。植物遺体からはおそらくシイ属の森林が近隣にあり、シイ属を中心とした食性であったことがうかがえる。
3d層より回収された堅果類子葉を年代測定したところ、11300～11400年前という結果を得た。上記したように、爪形文土器および押引文土器の年代は従来6500～7800年前といわれており、このギャップをどのように説明するかが必要となる。今年度の土器の検証により、従来いわれている爪形文・押引文土器ではなく、新しいタイプの土器である可能性が高いことが判明しつつある。ただし、今回回収した土器片は小破片のため、確固たる結論を述べることはできない。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は令和2年度終了予定であった。最終年度は発掘調査報告書の作成および刊行を目的としていた。分析なども前半は予定通りに進展していたが、新型コロナウィルスの影響などにより、昨年度中の報告書の刊行には至らなかった。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は昨年度分析を完了できなかったデータを分析し、発掘調査報告書を刊行する。
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| Causes of Carryover |
前述したように、昨年度終了予定であり、昨年度中に報告書を作成・刊行する予定であった。その目的に向かって順調に分析などを行っていたが、新型コロナウィルスにより刊行することができなかった。来年度は報告書を刊行する。昨年度できなかった最終分析と出版費を主に使途する予定である。
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