2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on preservation management and repair technique of castle stone wall prepared for disaster
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18K01091
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Research Institution | Tohoku University of Art and Design |
Principal Investigator |
北野 博司 東北芸術工科大学, 芸術学部, 教授 (20326755)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 石垣構築技術 / 石垣修理技術 / 石垣カルテ |
Outline of Annual Research Achievements |
基礎研究の研究成果としては一昨年度までの調査をもとに論文2本をまとめた。「公儀普請の採石活動と組織」『歴史遺産研究』第15号、「石垣秘伝書にみる勾配の視覚化と相互比較」『令和2年度東北芸術工科大学文化財保存修復研究センター紀要』。前者では、徳川期大坂城の再築にあたった福岡藩黒田家の石切りの技術と労働編成を論じ、往時の石垣構築技術の一端を明らかにした。後者では石垣のノリ返し勾配の設計を書いた3冊の秘伝書の内容を検討し、勾配図を中心にそれぞれの設計法の特徴、相互の共通点と差異を明らかにした。現在の石垣修理工事では変形した既存勾配にすり付けるのが一般的であるが、構築当初のオリジナルの石垣勾配を復元したうえで修理に臨むことが必要であろう。 石垣構築技術は近代に入って途絶えるが、昭和30~40年代に戦後復興に伴う天守等の建築に伴って石垣修理工事が再開されるようになった。一度断絶した石垣構築技術がこの時にどのような考え方と技術を持って現場に投入されたのか。現在の修理工事の技術を、近世以来の石垣修理技術史に位置付けるため、熊本城跡や篠山城跡、鳥取城跡などの資料を収集したところである。 令和2年度は感染症拡大により県外出張を伴う調査が計画通り実施できなかった。応用研究の「簡便な石垣カルテシステムの開発」と「石垣ハザードマップ」については現地調査が実施できなかったため、小峰城跡、熊本城跡の既存データを整理したにとどまる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
応用研究で予定していた簡易な石垣カルテ制作が協力会社との打ち合わせの遅延やSfM-MVS用の画像取得のための調査が感染症拡大防止の観点から十分できていないため。 現在、打ち合わせを行って再開の準備を進めているが、当初計画を変更して拡張可能はプロト版を作成する方向で計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎研究の領域では残る研究課題の一つ、石垣修理技術史について研究成果をまとめる。 応用研究の「簡便な石垣カルテシステムの開発」と「石垣ハザードマップ」は、夏以降に現地調査を実施してプロト版を提示する。 オルソ画像に基づく自動輪郭抽出システムを活用し、変位を示す段彩図とともに、石垣の変状や損傷等を可視化することを目標とする。これに加え、石垣の歴史情報の分析が可能なように、石の大きさ、形状の指数化、双子石の判別などに応用することを目指して研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
令和2年度完了予定を1年間延長したことに伴う。
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Research Products
(3 results)