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2018 Fiscal Year Research-status Report

外国判決の執行許可手続の簡素化と債務者利益との調整のあり方

Research Project

Project/Area Number 18K01357
Research InstitutionKanazawa University

Principal Investigator

本間 学  金沢大学, 法学系, 准教授 (80387464)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords外国判決の執行 / ブリュッセルIa規則 / 執行許可手続 / 起訴責任の転換
Outline of Annual Research Achievements

平成30年度は、ブリュッセルIa規則における執行許可手続(Exequaturverfahren)の廃止とそれに代わる新たな規律方法を分析することで、ブリュッセルIa規則における外国判決の執行にかかる債権者利益と債務者利益の調整メカニズムの特徴を明らかにすることを課題としていた。検討に際しては、先行して執行許可手続を廃止した欧州債務名義規則と比較・検討する手法を用いた。当初分析を予定していた重要文献の一つの公刊が2019年に延期されたため、今後、同文献による検証作業がなお必要であるが、これまでの検討から以下の点が明らかとなった。
(1)執行許可手続が廃止されたことにより、原裁判国の裁判が同国で認証されれば、EU域内において有効な債務名義となり、これを直接の根拠として他の構成国での執行が可能となる。この点で、債権者の迅速な権利実現が期待される。(2)他方で、従来の承認拒絶事由に相当するものが、執行国において債務者が強制執行を阻止ための事由として残置されている。したがって、欧州債務名義規則の規律とは異なり、執行国における原裁判国の裁判内容に対するコントロールは残る。(3)このコントロールは、債権者のイニシアチブによる執行許可手続ではなく、債務者の申立てにもとづく執行からの救済手続において行われるため、起訴責任の転換がなされている。救済手続の具体的な規律は各国国内法に委ねられるが、ドイツ法は請求異議の訴え(ZPO767条)によるものとしている。
以上のようなブリュッセルIa規則の新たな規律は、原裁判国の裁判の執行力を執行国への拡張することを肯定したうえで、執行手続の段階での債務者主導による裁判内容のコントロールを認めることで、債権者の迅速な権利実現の利益と債務者利益の調整を図ろうとする点に特徴がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初、分析予定であったブリュッセルIa規則に関する重要文献の出版が、2019年に延期されたため、同書の検討は次年度に委ねざるを得ず、その点での若干の進捗の遅れは否定できない。しかし、当初予定していたブリュッセルIa規則における外国判決の執行にかかる債権者利益と債務者利益の調整メカニズムの大枠の分析はおおむね達成できており、これにもとづき次年度の研究は当初の計画通り遂行できると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

次年度は、平成30年度に入手できなかった図書を用いて、これまでの分析結果を検証、補充したうえで、当初の計画通り、ブリュッセルIa規則の規律メカニズムに対するドイツ法の評価を分析するとともに、2020年3月にドイツ・ライプツイッヒで開催予定のドイツ法系民事訴訟法担当者会議に出席し、ドイツ人研究者との意見・情報交換を行う予定である。また、2019年11月に神戸で開催される世界訴訟法会議においても、本研究テーマに関連するセッションが開催されるとの情報を得たので、当初の計画に加えて同会議にも出席し、情報収集並びに意見交換を行う予定である。

Causes of Carryover

購入を予定していた図書の刊行が2019年に延期されたため、その購入のための残置していた金額が結果として、次年度使用額となった。したがって、次年度使用額は、この図書の購入に充てられる。

URL: 

Published: 2019-12-27  

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