2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01367
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
芳賀 雅顯 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (30287875)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 紛争解決の終局性 / 判決の確定概念 / 外国判決 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請は、「渉外民事事件における紛争解決の終局性」をテーマとするものである。 2019年度の研究実績には、1)論説として、外国判決の承認と不当利得返還請求の関係、2)翻訳として、ドイツ・フライブルク大学ブルンス教授による論文の翻訳、ドイツ・コンスタンツ大学シュタッドラー教授による論文の翻訳、また、3)関連する論文として、家族事件の国際裁判管轄における当事者自治に関するものがある。 1)は、「外国判決不承認による不当利得」加藤新太郎ほか編『現代民事手続法の課題(春日偉知郎先生古稀)』において、つぎのような検討を行った。外国判決が外国(第三国を含む)で執行されたものの内国で承認されなかった場合には、内国で不当利得返還請求訴訟を提起することができるのか、という問題を扱った。判決の国際的調和を重視する立場から、これを否定的に解する見解がドイツでは有力に説かれている。しかし、外国判決が内国で承認されないということは、当該判決は内国で効力が認められないのであることから、判決債務者は内国で不当利得返還請求を求める資格を有するとの基本的視点に立ち、その国際裁判管轄、準拠法決定などについて検討した。 2)は、アレキサンダー・ブルンス「民事訴訟の主たる目的としての権利実現」(翻訳)、アストリッド・シュタッドラー「ドイツ裁判所の専門化」(翻訳)は、いずれも加藤新太郎ほか編『現代民事手続法の課題(春日偉知郎先生古稀)』に所収されている。前者は、民事訴訟の目的論に関する近時のドイツの議論を紹介し、後者は紛争解決手続における裁判所の専門化をめぐるドイツでの立法動向を扱う。 3)は、「離婚の国際裁判管轄と当事者の意思」三木浩一ほか編『民事手続法の発展(加藤哲夫先生古稀)』というテーマで、渉外的家事紛争に関する国際裁判管轄をめぐる問題について、当事者自治の許容性を論じた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の個所でも論じたが、本申請テーマに関する準備的な検討や研究を行い、そのうちのいくつかのテーマについては成果報告を行う機会を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、引き続き申請計画に基づいた研究を行う。具体的には、非訟事件における確定概念の検討などを行う予定である。
|
Causes of Carryover |
1)次年度使用額が生じた理由 新型コロナウィルスの蔓延により、当初参加を予定していた、ドイツ法圏民事訴訟法担当者会議(ライプツィヒ大学)が翌年に開催が延期されたため。 2)使用計画 翌年開催予定の、上記会議に参加するための渡航費および滞在費に充当する。
|