2020 Fiscal Year Annual Research Report
Finality of Dispute Resolution in International Civil Affairs
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18K01367
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
芳賀 雅顯 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (30287875)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 紛争解決の終局性 / 判決の確定概念 / 外国判決 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、おもに、渉外民事事件における外国判決の承認に関する規定(民事訴訟法118条柱書)が求める判決の終局性・確定性の意義について、比較法的検討を踏まえて日本法の解釈への示唆を得ることを目的とするものである。 民事訴訟法118条柱書が確定性を求める趣旨は、つぎの点にあるとされる。すなわち、外国判決が未確定である場合に承認国である日本において当該判決の承認・執行を認めたときには、承認後に判決国において当該判決が取消や変更を受けた場合に、承認国での法律関係が錯綜してしまうため、このような混乱を回避する点にあると説かれる。しかしながら、わが国において、すでに有力な見解が一定の場合に確定性を緩和することを認めており、また、判決国において判決が確定した後でも判決国の再審手続によって法律関係が変動することもありうる。また、国際条約等では迅速な権利保護を必要とする場面においては、仮の権利保護の分野においても承認執行を認めている(z.B. Linke/Hau, Internationales Zivilverfahrensrecht, 8.Aufl.2021, Para 15.14 ff.)。そのため、そもそも判決の確定というものを厳密に考える必要性があるのか、その点を比較法的に検討することを目指した。 2020年度の本研究の関連成果としては、1)ペーター・ゴットヴァルト(翻訳)「民事事件における国際強制執行に関する最近の諸問題」酒井一編『国際的権利保護制度の構築』 (信山社、2021年)、2)「執行判決訴訟の訴訟物と既判力の客観的範囲」酒井一編『国際的権利保護制度の構築』(信山社、2021年)がある。 最終年度を終えて、現在は、EU法やドイツ、アメリカの判例・学説等を参考に、これまでの研究成果のまとめの作業を行っている。
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