2022 Fiscal Year Annual Research Report
Expansion of family concept by same-sex parents or parents more than three
Project/Area Number |
18K01375
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
渡邉 泰彦 京都産業大学, 法学部, 教授 (80330752)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | SOGI / 性別変更 / 同性婚 / 家族法 / 親子関係 / LGBTQ+ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、「同性カップルの法的処遇に関する研究会」に参加し、研究成果の一部を報告した。最新の日本の判例では、性同一性障害特例法3条1項3号の「未成年の子がないこと」要件の憲法適合性に関する最決令和3年11月30日について、合憲と判断した法廷意見の問題点を指摘し、憲法13条違反とする宇賀裁判官の反対意見の妥当性を検討した。また、MTFトランスジェンダーが凍結保存した精子を用いて性別変更の前と後に子をもうけた事案における親子関係について、東京家判令和4年2月28日をもとに検討し、この判決が父でも母でもないとした結論が不当であり、日本法の下においても生物学的親子関係に基づき父となることを示した。 同性カップルと親子関係について、「結婚の自由をすべての人に」東京第一次訴訟の東京地判令和4年11月30日が同性カップルと子による家族を考慮に入れたことから、同性間の婚姻に基づく家族の可能性を検討した。 2018年からの研究期間を通じて、ドイツ法を中心に、同性カップルと親子関係、性別変更と親子関係の判例、立法に向けての議論を紹介した。また、オーストリア法における同性カップルと親子関係について判例の状況、オランダ法の状況と展開を検討してきた。日本においても同性婚をめぐる議論において実親子関係の規定を適用できるかを比較法の観点からも検証した。性別変更と親子関係についても、日独の比較法研究の成果を日本の判例の検討に組み込み、判例を批判的・多角的に検証できた。 研究期間全体を通じた成果の一端として、ドイツ、オランダとの比較法研究、日本法への示唆と今後の展開の可能性について、二宮周平編『LGBTQの家族形成支援 - 生殖補助医療・養子&里親による』信山社において紹介した。また、研究期間の後期には研究テーマに関する判例が続けて出ており、判例評釈の形で個別に成果をまとめている。
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