2019 Fiscal Year Research-status Report
国際倒産の諸問題ーアジア太平洋諸国における海運会社の倒産を契機として
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18K01376
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
金 春 同志社大学, 法学部, 教授 (80362557)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 承認援助 / 倒産 / 仲裁 |
Outline of Annual Research Achievements |
法学雑誌に公表された論文及び翻訳は、3本(中国語)です。「外国倒産手続における承認援助」政法大学37巻5号(2019);「国際商事仲裁と倒産手続」人民司法2019年3号;「証券化と倒産」南京大学法律評論2019年春号(翻訳)。
事務局およびコメンテーターとして参加した重要な国際会議は、二つがあります。東アジア倒産再建シンポジウム(2019年10月、日中韓500名参加。事務局かつ司会者);世界民事訴訟法(神戸大会、世界各国から300名参加。組織委員会メンバー、かつナショナールレポーター)。 2019年8月にはオーストラリアメルボルン大学に行って約一ヶ月間の在外研究を行いました。 オーストラリア倒産法についての改革、及び国際倒産法についての現状についてAndrew教授と打ち合わせの上、日本の国際倒産法について英語の論文を公表する準備作業をほぼ済ませました。また、オーストラリアの倒産法についてメルボルン大学のStacey教授と共同研究をし、2020年に著書の出版を予定しているところ、その打ち合わせをしました。今年度は、日本語の論文を公表できていませんが、中国語と英語関係の研究が着実に進んでいるので、日本語の論文の執筆作業に多いに役立ったと考えております。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度において、中国の権威のある法学雑誌に、外国倒産手続の承認援助に関する論文と倒産手続における仲裁条項の効力に関する論文を中心として、計3本の論文を公表することが出来ました。前者の論文は、中国の最高裁立案担当者から現在進めている香港と中国大陸間の倒産手続の承認援助に関する取り決めのトラフトを作成する際に大いに参考になっているといわれております。論文では、特に日本法とモデル法との差異、日本法のアプローチの優位点について紹介、考察したものです。 論文公表のほか、私が事務局を勤めている東アジア倒産再建シンポジウムを含む複数の国際会議に参加し、国際倒産に関するテーマについて報告しました。 2019年8月にはメルボルン大学で約一ヶ月間滞在し、オーストラリア倒産法についての研究も着実に進めました。 2019年は中国の立法需要にこたえるべく、どうしても公表できたのは中国語と英語の論文の比重が多いですが、2020年は日本語の論文を中心に公表させていただく所存です。
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Strategy for Future Research Activity |
今年は、日本語と英語の論文を中心に、中国語の論文をも適宜に執筆し、公表する計画です。日本語としては、現在書いているのは、中国における倒産手続とITの活用と新型コロナ対策、中国における個人倒産制度の理論と立法の動きがあります。 中国が現在個人倒産制度の立法を行っておりますが、私は外国法を紹介する専門家として関与しておりますので、最新の情報に触れる機会があります。 また、今年は新型コロナとの関係で、日中ビジネスに関わっている企業が倒産する事件がいくつかあり、中国に日本の倒産手続の承認援助申請事例が現れました。私はこのケースで意見書の提出を頼まれ、専門家として裁判所で開かれた意見聴取会に参加しました。中国における日本の倒産手続の承認援助申請事件として大いに注目されており、大変重要な論点を含んでいるので、このケースをベースに日本語の論文を書いて、公表する計画です。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は412円です。小額で図書の購入などに使用できず、次年度に使用することといたしました。
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