2020 Fiscal Year Research-status Report
国際倒産の諸問題ーアジア太平洋諸国における海運会社の倒産を契機として
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18K01376
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
金 春 同志社大学, 法学部, 教授 (80362557)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 承認援助 / 倒産 / 仲裁 / 中国 / 日本 / オーストラリア / 韓国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アジア太平洋諸国における近時の海運会社の倒産事例を多数用いて、国際倒産のいくつかの重要な論点について考察を行うものであります。具体的に、国際倒産に関するの重要な論点、倒産解除特約の効力、仲裁契約の効力、国際倒産におけるグループ企業の実体的併合、相互主義、不法行為と不当利得の成否の問題について考察するものであり、研究実施計画もこれらの問題について、あるいは関連する周辺問題について毎年関連論文を公表することを目的とします。 2020年は、法学雑誌に公表された論文及び判例評釈として、計3本(日本語1本、中国語2本)です。①論文(中国語)「個人倒産法立法と経営者保証問題研究」南大法学2020年3期;②論文(中国語)「倒産会社の取締役の対債権者責任制度について」法律適用2020年17期《南大法学》2020第2期;③(判例)「相殺禁止規定に違反した相殺を有効とする合意」『倒産判例百選(第6版)』(2021年)所収)があります。 事務局およびコメンテーターとして参加した重要な国際会議は、1件あります。東アジア倒産再建シンポジウム(2020年12月、日中韓80名参加(ウエブ参加を含む)(事務局かつ報告者)において国際倒産とプレパッケージの問題について報告しました。。 2020年は新型コロナ感染症のため、予定していたシンガポールや韓国などへの海外調査および研究があまり出来ておらず、かねてから取り組んできたオーストラリア倒産法や中国倒産法、日本の倒産法についての研究に専念してまいりました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年は新型コロナ感染症のため、予定していた韓国、シンガポールへの海外出張ができず、これらの国の国際倒産の問題についての研究が出来ておりません。したがって、これらの国についての研究があまり進めておらず、その意味で当初計画よりやや遅れている状況です。 ただし、かねてから取り組んできており、資料収集がある程度できるオーストラリア倒産法および母国のため資料収集が容易な中国倒産法と日本の倒産法の比較についての研究に専念できました。したがって、オーストラリア倒産法と中国倒産法、日本の倒産法に関しては、本研究課題と関連する問題について順調に研究が進んでいます。加えて、これらの国については本研究課題の周辺課題についても立ち入った研究を行い、研究業績を発表することができました。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、アジア太平洋諸国における近時の海運会社の倒産事例を多数用いて、国際倒産のいくつかの重要な論点について考察を行うものであります。具体的に、船会社の倒産の事例を用いて、国際倒産に関するの重要な論点、倒産解除特約の効力、仲裁契約の効力、国際倒産におけるグループ企業の実体的併合などについて考察するものであります。そして、比較法の対象として日本、韓国、シンガポール、オーストラリア、及び中国が含まれており、これらの国への海外調査などが必要とされています。 2021年は新型コロナの収束状況によって韓国、シンガポール、中国への海外調査ができるか見てから、対策を進めたいと思います。 これらの海外調査が実現できなかった場合は、当分は在外研究先であるため資料が既にあるオートらリア倒産法と母国のため資料の集めが容易な中国倒産法、及び日本の倒産法における本研究課題と関連する問題について先に研究を進めて、論文を公表できるようにしたいと思います。
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Causes of Carryover |
2020年において次年度使用額が生じたのは、新型コロナ感染症のため、予定していたシンガポールや韓国への海外出張ができなかったためでした。 2021年度は、この次年度使用額を用いて引き続きこれらの国への出張と海外調査を試みたいと思います。 新型コロナが収束しておらず、これらの国への海外調査が実現できなかった場合は、母国のため比較的に渡航が安い中国への海外出張のために、加えて翻訳費用や資料収集補助のための人件費支出などのために同額を使用する予定であります。
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