2019 Fiscal Year Research-status Report
Comparative Studies on Presidential Impeachment
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18K01437
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
米沢 竜也 神戸大学, 国際連携推進機構, 特命助教 (80804997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
見市 建 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (10457749)
MASLOW SEBASTIAN 東京大学, 社会科学研究所, 特任研究員 (10754658)
舟木 律子 中央大学, 商学部, 准教授 (20580054)
木場 紗綾 公立小松大学, 国際文化交流学部, 准教授 (20599344)
木村 幹 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (50253290)
杉村 豪一 神戸大学, 国際協力研究科, 助教 (80739516)
秋田 真吾 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (90774604)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大統領弾劾 / 民主化 / 社会運動 / 市民社会 / ポピュリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「近年なぜ特定の民主主義国において大統領を弾劾する事例がみられるのか」という問いに対し、民主主義制度に対する国民の信頼の低下という観点から分析することを目的としている。政治エリートのパフォーマンスに対する不満は、近年アメリカやフランスといった「古い民主主義国」から、1980年代に民主化を経験した「新しい民主主義国」まで幅広くみられる現象である。本研究は、特に、後者の国々において、大衆の政治的不満が議会や政党といった既存の民主主義的制度に回収されず、大規模なデモ、さらには大統領弾劾へと展開しているという仮説の下、現代の民主主義の不確実性を各国の事例から分析する先駆的な試みである。 前年度に「新しい民主主義国」における大統領をめぐる政治において、注目すべき点(大衆行動の有無、政治的不満を回収する政治制度の有無、行政・立法・軍部といったエリート間の関係)を確認したことを踏まえ、本年度は、各研究者が、担当する地域における民主主義制度や政治的対立構図、または、その歴史的ルーツについて文献調査を実施した。また、それぞれ学会・研究会で報告、および、論文を発表した。 新興民主主義国においては、各国それぞれの政治的文脈があるものの、近年より先鋭化している市民社会の対立構図が民主化前から根付いている「ナショナリズム」や「宗教」といった要素を強調しており、アイデンティティのような分割できない利益をめぐって二極化した政治や社会的分断が進展していることを確認した。 次年度は、この社会的分断と民主化後に導入された政治制度に対する信頼度の変化にどのような関連があるのか、また、大衆行動にどのように繋がっているのかという点をさらに分析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、各研究分担者が担当する地域の研究を進め、国内外の学会等での発表することとしつつ、本研究の補助期間が終了するまでに研究成果を何らかの形で取りまとめることを確認した。その結果、各研究分担者が文献調査などを通じて担当する地域の政治状況などの分析を進め、その一部は学会で報告、もしくは、論文として公表するといった成果があった。また、研究分担者間で協働し研究内容について積極的に共有を図ったことも評価できる点であり、本研究はおおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目となる次年度は、昨年度に引き続き、大規模な大衆行動の発生に注目し、それに関する要因について、各地域の分析を進めていく。特に、民主化後に導入された政治制度の変化とそれによる政治争点の変化が大衆行動に及ぼす影響について注目する。 また、研究分担者が一堂に会する機会を設け、これまでに蓄積してきた新興民主主義国の分析内容を比較し、各国に共通する要素の分析や、民主化後の民主主義を敷衍する枠組みの構築を目指す。そのためにも、学会における共同パネルの構成を有効に活用し、各国事例の比較から仮説の検証をすることを念頭に研究を進める。
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Causes of Carryover |
当初予定していた文献の購入を実施しなかったため、また、国際学会が取りやめになったため、次年度使用額が生じた。昨年度使用分も合わせて、今年度はすべて使用する。
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Remarks |
木場紗綾「都市住民の多様な社会運動」マニラ新聞、2019年10月24日。
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Research Products
(18 results)