2019 Fiscal Year Research-status Report
軍部優位下における昭和戦前・戦中期日本外交の再検討
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18K01448
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
宮杉 浩泰 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (30613450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 雄太 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (70584423)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インテリジェンス / 極東赤軍 / 軍令部第11課 / 海軍中堅層 / 宇垣一成 / 通信情報 / 政軍関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は前年度の研究成果をより発展させるため、防衛省防衛研究所戦史研究センターや国立国会図書館憲政資料室、外務省外交史料館、靖国神社偕行文庫、昭和館などの文書館・図書館において、本研究に関する史料の収集・分析を引き続き実施した。加えて、呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)も再訪し、本研究に関する史料の収集・分析を行った。特に大和ミュージアムでは、前年度に着手した事実上の海軍軍令部の公文書である史料調査会旧蔵資料の分析を再度実施したが、これらの資料は旧海軍のみならず、他の文書館等においては所蔵されていないと思われる海軍に送付された陸軍や外務省の史料が含まれている。また、当該資料群は海軍の吉田茂・駐英大使(戦後、首相)に対する認識を知り得る上でも貴重な史料や通信情報(暗号解読)を担当する軍令部第11課の史料も含まれている。そのため、既存資料と併せて分析することにより、より精緻な知見の析出が期待される。なお、当該資料の一部については、別項に記載した学術論文等においても分析している。加えて、対ソ連関係について注目した学術論文においては、独ソ戦後の極東赤軍の西送だけではなく、独ソ戦前に既に極東赤軍から兵力が西送されていたこと、その事実を日本側がある程度把握していたことを指摘した。そして、現存する関東軍の史料などを用いて、日本側が赤軍の暗号を部分的に解読し、独ソ戦後の極東赤軍の再編成を一定程度把握していたことも明らかにした。ただし、日本側の極東赤軍に対する情報活動は極東方面軍とザバイカル方面軍とでは成果に差があったことも論じた。 これらの作業により得られる知見は本研究のみならず、本研究の関連諸分野における研究にも寄与するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度の調査研究の成果は、令和2年度以降の調査研究を大きく発展させることが期待されるものであり、当初計画のスケジュールとは前後するものの、全体としては概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度以降の研究の推進方策について、引き続き当初計画に従い、作業に取り組むとともに、必要に応じて新たな研究課題を設定するなどして、本研究の目的達成を図る。
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Causes of Carryover |
令和元年度は、前記(研究実績の概要)の通りの調査研究を実施したが、本研究に関連する国内での史資料の収集を優先させた結果、申請段階で予定していた研究協力者や同分野の研究者とのミーティングや外交・安全保障に関する研究が盛んな海外で開催される研究会への参加を実施しなかったため、次年度使用額が生じた。しかし、他の作業は当初の想定以上に進捗しており、全般的には本研究は順調に遂行されている。 令和2年度以降については、上記ミーティングや意見交換を実施するのみならず、他の研究や研究成果の発表などを積極的に実施し、申請段階での研究計画を達成しつつ、かつ本研究の目的を達成するよう精力的に研究を遂行したい。
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Research Products
(2 results)