2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K01451
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
柴田 直子 神奈川大学, 法学部, 教授 (20409840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸田 雅治 神奈川大学, 法学部, 教授 (10635460)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自治体裁判所 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカの自治体裁判所について、その制度と機能について明らかにすることを目的とするものである。これまで自治体裁判所については、地方自治の領域においてもアメリカ法の領域においてもあまり研究されることがなかった。アメリカの研究者による研究においてもこれを対象とするものはほとんどなかった、 しかし近年、一方においては、2014年にミズーリ州ファーガソンで白人警察官が黒人の18歳の少年を射殺した事件をめぐってアメリカ司法省が行った調査等から、自治体裁判所の有する多くの課題が明らかになったこと、もう一方においては、1990年代から自治体裁判所などで広がった、いわゆるドラッグ・コートなど「問題解決型」の司法への試みが評価されるようになったことにより、アメリカの自治体裁判所について研究をする意義が高まっている。 自治体裁判所の制度は州によって異なり、また同じ州の中でも地域によって差が大きい。その機能についても同様である。そこで、これらを理解するためには、現地に訪問して多様な当事者からヒアリングを行うのが有効である。本研究においては、すでにニューヨーク市、カンザス市、ブルーミントン市(IN)で調査を行った。しかし、当該年度に予定していた、他自治体への訪問調査は、新型コロナウィルス蔓延のためのロックダウンにより実施できていない。 本年度は、代替的な手段として、アリゾナ州、ノースキャロライナ州、サウスキャロライナ州で行われた既存の調査による研究成果から、これらの地域の自治体裁判所の制度と歴史的な機能についての情報を得た。 比較を行う予定である日本の自治体や地域における問題解決制度とその機能についても、訪問調査が行えなかったため、代替的な手段として、地域における公式、非公式の問題解決手段に関する文献と利用者の執筆した文章などを入手して分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究においては、アメリカの自治体裁判所について、その制度的な違いを確認するために、東部、西部、南部において典型的なこの制度を有する自治体を訪問してヒアリング調査を行うことを計画していた。このうち、ニューヨーク市、カンザス市、ブルーミントン市(IN)での調査は実施することができたが、2020年以降、予定していた調査が実施できていない。理由は、新型コロナウィルス蔓延のためのロックダウンと、それ以降の現地の混乱等による。 当該年度においては、代替的な手段としての二次資料の利用による調査によって、アリゾナ州、ノースキャロライナ州、サウスキャロライナ州の制度や歴史的な機能について情報を得たが、年代的には新しくなく、情報も十分でない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度であるため、これまでの研究成果をまとめる予定であったが、すでに既述したように研究が遅れているため、本年度もできる限り調査を実施し、情報を収集することに時間を配分したい。具体的には、ワシントン州への訪問調査、日本の自治体や地域における調査を実施する計画である。 万一、次年度においても訪問調査ができない場合は、研究計画を修正し、自治体裁判所の制度と実態より制度の歴史的機能に重点をおいた研究としてまとめることを検討している。 研究成果についても、研究分担者および関連する研究を行っている他の研究者との意見交換の上、本年度で到達できる限度でまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は、英米法系の国における地方自治体がもつ、司法的な機能に関するものであり、現地の情報を得る手段として、現地への訪問調査を予定していたところ、新型コロナウィルス蔓延によるロックダウンと現地の混乱等により、当該年度においても訪問調査を行うことができなかった。国内での調査についても同様の理由で実施できていない。 当該年度に執行できなかった調査関連の予算は、次年度に改めて調査を実施する際に執行する計画である。
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