2018 Fiscal Year Research-status Report
Technical Change, Factor Income Distribution, and Social Welfare: Microeconomic Analysis
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18K01514
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
吉原 直毅 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 客員教授 (60272770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西條 辰義 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (20205628)
後藤 玲子 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70272771)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 技術革新 / 資本蓄積 / 要素所得配分 / 完全競争均衡の非決定性 / 社会的連帯 / 動学的一般均衡分析 / 異時点間資源配分問題 / 公理的特徴づけ |
Outline of Annual Research Achievements |
3つの研究課題のうち、第1研究「異時点間資源配分問題における資源配分メカニズムの公理的特徴づけ」については、市場経済システムをも一例として含む経済システムの性質に関する公理として、効率性、個人合理性、及び経済的進歩に関する公理をそれぞれ定式化し、分析すべき課題の数理的な設定を行った。 第2研究「技術革新と資本蓄積・要素所得分配の動学的一般均衡分析」に関しては、技術革新によって技術選択集合が可変的となる動学的一般均衡の枠組みで、技術革新の成果導入を巡る資本家間競争がある場合の異時点間均衡移行についての理論分析を行い、その成果を纏めた論文の第1草稿を仕上げた。 第3研究「完全競争均衡の要素所得分配に関する非決定性(indeterminacy)問題の考察」に関しては、Mandler (1999)の分析――正常経済の下では、定常均衡下の要素所得分配の非決定性はジェネリックな性質ではない事を論証――の妥当性についての検証を行った。Mandler (1999)と同様に、結合生産の可能性も技術選択の余地も存在しない単純レオンチェフ的生産技術体系を持つ生産経済モデルを取り上げた。結果として、Mandler (1999)とは異なり、正常経済の下での定常均衡であっても、要素所得分配のスラッフィアン的非決定性はジェネリックな性質として観察される事を確認する事が出来た。更に、実際に、定常均衡の均衡多様体が存在する事も、確認した。これらの成果を纏めた論文を完成させ、ディスカッション・ペーパーとして公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「3年間の研究実施計画」と照らし合わせて順調な進展状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
第1研究は、2018年度に設定した問題枠組みの下での公理的分析を集中的に行い、分析結果を定理として纏めていく。また、その定理の含意を研究討議中心に練り上げ、市場経済システムの動学的観点からの意義付けに結び付けていく。一方で、西條氏の「フューチャー・デザイン」プロジェクトの研究チームに関わる研究者たちとの連携にも力を入れる。特に、自然科学系・工学系・実験社会科学系の研究者たちと積極的に討議を行うことで、研究成果論文が、経済学を超えた異分野の研究者たちにもメッセージとして伝わることを目標とする。 第2研究は、2018年度に実施した第1段階の研究成果を纏めた論文を、公刊可能な水準へと磨き上げていく。国際会議やワークショップなどで研究報告を行い、有益なフィードバックを得て、経済学界一般にアピールするような水準の論文に仕上げていく。 第3研究は、2018年度の時点での研究成果を踏まえ、結合生産の可能性も技術選択の可能性も許容されたフォンノイマン的生産技術体系を持つ生産経済モデルを考察対象とする。フォンノイマン的生産技術体系を持つような、より一般的な生産経済の下で、要素所得分配のスラッフィアン的非決定性はジェネリックな性質として観察されるか否かに関する研究を推進させる。
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Causes of Carryover |
2018年度に予定していた夏季研究出張が延期になった為、次年度使用が生じた。この次年度使用分は、2019年度の共同研究打ち合わせの為の海外出張や、海外の国際会議での研究成果報告の為の出張費などで使用する予定である。
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Research Products
(24 results)