2018 Fiscal Year Research-status Report
The Varieties of Economic Institutions and the Interdependence of Growth Regimes in Regional Economic Integration: EU-Asian Comparative Analysis
Project/Area Number |
18K01564
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
植村 博恭 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (70184976)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 鋭夫 名古屋大学, 経済学研究科, 名誉教授 (10024978)
宇仁 宏幸 京都大学, 公共政策連携研究部, 教授 (90268243)
磯谷 明徳 九州大学, 経済学研究院, 教授 (60168284)
遠山 弘徳 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (20202195)
木崎 翠 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (40260541)
原田 裕治 摂南大学, 経済学部, 准教授 (70313971)
西 洋 阪南大学, 経済学部, 教授 (10509128)
田原 慎二 千葉商科大学, 商経学部, 講師 (70755248)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 地域経済統合 / 経済制度の多様性 / 成長体制の相互依存性 / EU / 東アジア / ユーロ危機 / 東アジア生産ネットワーク / レギュラシオン理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、資本主義の多様性をふまえてEUと東アジアにおける地域経済統合の構造的特徴と動態を両地域における経済制度の多様性と成長体制の相互依存性の観点から比較分析するものである。これによって、地域経済統合の理論研究と実証研究を新たなかたちで発展させることを目指す点で意義がある。 本年度は、2018年6月に国際コンファレンスEvolving Diversity and Interdependence of Capitalisms: Toward a Further Study(京都パレスサイド・ホテル、6月22日)を開催し、国際共同研究のメンバーであるフランスの研究者たちも参加した。ここでの議論と研究打合わせによって、国際共同研究の組織と理論的枠組を構築することができた。また、EU構成国の制度的特質と成長体制に関する実証研究及びアジア諸国の成長体制の相互依存性に関する実証研究も着実に進めた。 共同研究の成果としては、2018年11月にBoyer, R., Uemura, H., Yamada, T. and Song, L. (eds.) Evolving Diversity and Interdependence of Capitalisms: Transformations of Regional Integration in EU and Asia, Springer, 2018を出版した。本書では、EUと東アジアにおける地域経済統合の相違を経済と政治の相互作用と成長体制の相互依存性の観点から分析している。欧州統合は、EU構成国間の政治的合意のもとで、経済的統合が市場統合、人の自由移動、ユーロ導入というかたちで進んだが、経済構造と成長体制の異質性を伴った各国経済を調整するには困難がある。東アジア経済統合は、多国籍企業の活動に牽引された国際生産ネットワークの拡大によって発展してきたが、経済過程を調整するための国際的な政治的合意は形成されていない。このような理解のもとで、欧州諸国及び東アジア諸国の成長体制の特質と相互依存性が分析されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の計画以上に国際共同研究を大きく発展させることができた。まず、国際コンファレンスとしては、2018年6月にEvolving Diversity and Interdependence of Capitalisms: Toward a Further Study(京都パレスサイド・ホテル、6月22日)を開催し、Robert Boyer、Pascal Petit、Jacques Mazierなど国際共同研究のメンバーであるフランス人研究者が参加し、研究を大きく発展させることができた。特に、ここでの議論と研究の打合わせによって、国際共同研究の組織と理論的枠組を構築することができ、今後の共同研究のスケジュールも具体的に作成することができた。 2018年11月には、本国際共同研究の体系的成果として、次の本を出版することができた。Boyer, R., Uemura, H., Yamada, T., and Song, L.(eds.), Evolving Diversity and Interdependence of Capitalisms: Transformations of Regional Integration in EU and Asia, Springer Japan, 2018。本書は、本科研費プロジェクトにおける国際共同研究の最初の大きな成果であり、EUと東アジアにおける地域経済統合の比較分析に関する全体的な枠組みを積極的に提起するものとなっている。すでに、本書の研究内容がSociety for the Advancement of Socio-Economics(SASE)や進化経済学会等の国際学会で発表され、注目されている。 また、本年度は、国際共同研究のネットワークのもとで、フランス、イギリス、ドイツ、ファンランドなどのヨーロッパ諸国や日本、中国、韓国、ASEAN諸国などの東アジア諸国の経済制度の多様性と成長体制の相互依存性に関する実証研究も確実に進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度以降は、これまでに構築した国際共同研究組織と理論的枠組みをもとに、特に次の研究課題に焦点をあてて研究を進める。 ①EU諸国における経済制度の多様性を各国制度とEU共通制度との相互規定性の観点から解明する:イノベーション・システム、労働市場、金融市場、産業構造を中心に、EU諸国における経済制度の多様性を解明する。②EU諸国における成長体制の相互依存性をEU内の地域的差異を軸に解明する:中欧(ドイツ、オランダ)、北欧(スウェーデン、フィンランド)、南欧(イタリア、スペイン)、イギリスの成長体制を解明する。特に、World Input-Output Database (WIOD)とマクロ経済データを解析する。③東アジア諸国における経済制度の多様性と多国籍企業の生産活動を解明する:イノベーション・システム、労働市場、金融市場、産業構造などを中心に東アジアにおいおける経済制度の多様性を解明する。また、東アジアの経済統合を牽引する多国籍企業のガバナンスと生産活動に関して進化経済学的な比較制度分析を発展させる。④東アジア諸国における成長体制の相互依存性を分析する:イノベーション・輸出主導型(日本、韓国、台湾)、大陸混合経済型(中国)、都市型(シンガポール、香港)、貿易主導工業化型(タイ、マレーシア)などの成長体制を分析し、WIODとYNU-GIOなどの国際産業連関表を用いてそれらの相互依存性を検証する。⑤EUと東アジアにおける地域経済統合の比較分析に基づき、地域経済統合理論を再構築する:経済制度の多様性の拡大・縮小傾向、成長体制の異質性と相互依存性の構造的性格、国際分業構造の動態について、経済的要因と政治的要因の相互作用の観点から分析し、EUと東アジアの地域統合パターンを比較分析によって地域経済統合理論を再構築する。 以上の国際共同研究の成果を総括するために、今後大規模な国際コンファレンスを開催することを予定している。
|
Causes of Carryover |
2008年度は研究のための基本的な理論的枠組の構築と研究成果の英文出版を主としたので、多少支出額が抑えられる結果となった。これに対して、2019年度と2020年度は、EU諸国とアジア諸国に関する積極的な実地調査研究を行いこと、及び研究成果を体系的にまとめるために大規模な国際コンファレンスを開催することを予定している。このため、特に旅費と人件費・謝金について多額の支出が予想される。このような状況から判断して予算を調整した結果、次年度使用額が生じることとなっている。
|
Research Products
(19 results)