2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on the development of economic linkage in the Greater Mekong Sub-region
Project/Area Number |
18K01574
|
Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
野崎 謙二 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (80444363)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | intra-industry trade / Grubel and Lloyd index / gravity model |
Outline of Annual Research Achievements |
拡大メコン地域(GMS)における経済連携の進展につき、域内貿易データの分析や地域経済指標の分析により、経済連携の現状分析及び、地域経済への影響について分析を行った。 まず、域内貿易データの分析については、2018年度に実施したGMS域内の運輸産業の生産分業の動向につき、さらに新しいデータによる分析の更新を行うとともに、ドイツを中心とする欧州での自動車産業の生産分業体制の分析も行い、その進展度合いの違いについて検証した。その検証結果は、ポーランドのヴロツワフ経済大学におけるワークショップで報告し、2020年度には同大学の研究雑誌に掲載できるよう投稿する予定である。 次に、アジアと欧州との比較という視点で、運輸産業においてメコン地域も含めた東アジアとドイツを中心とする欧州の生産構造の違いをグラビティモデルを推計することにより検討した。中国とドイツではフラグメンテーション・モデルが有意であるものの、その内容は異なること、特に中国において所得の高い日本から部品を調達していることが確認された。また、日本についてはグラビティ・モデルが有意に推計されなかった。これは、タイを中心とする東南アジアとの取引関係が定着しているため距離に反比例する重力モデルが妥当しないためではないかと推論された。この成果を2020年3月に開催予定であった。国際地域学会アジア太平洋会議で報告するべく、論文審査でアクセプトされたが、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、会議そのものが中止となり、学会発表の場を失ったところである。 また、国境河川に架かる国際橋が地域経済に及ぼす影響の分析については、データの制約により十分な計量分析が行えていないが、既存のデータより定性的な分析を行い、国際地域学会世界大会で報告し、専門家の意見を聴取するまでの準備に至ったところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グラビティモデルの推計において多少手間取ってしまったため、想定よりも時間がかかってしまった。それでも、ある程度の成果を得て、国際学会での発表により広く意見を聴取して修正を考える段階まで至ったが、新型コロナウィルスの感染拡大により、大会自体が中止となってしまったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
グラビティモデルによる生産構造の分析や、国境インフラの地域経済の影響については、最終的な論文形式にまとめ、学術誌への投稿を目指す。 ただし、2020年3月の国際地域学会アジア太平洋会議が中止になったように、今後も学会活動を通じた研究内容の研鑽は困難な状況になる可能性がある。また、追加的な現地調査も現状非常に困難な環境にある。 かかる状況で、他に発表の場を求めるなど、これら障害をクリアすることができる方法を検討するとともに、現地調査を実施しない方法や、現地調査が遅れた時の対応など、研究計画そのものを実現可能な形に変更していく可能性も検討する。
|
Causes of Carryover |
2020年3月という、年度末に参加を計画していた国際学会(国際地域学会アジア太平洋会議)がコロナウィルス感染拡大に伴い、開催直前に中止になり、旅費及び大会参加費が返金され、その額を戻入したため。 2020年度は、他の報告機会を求めたり、現地調査ができる環境になり次第、現地調査を再開し、研究の遅れを取り戻すこととしたい。
|