2020 Fiscal Year Research-status Report
A Theoretical Study on International Oligopoly and Foreign Direct Investment under Foreign Exchange Risk
Project/Area Number |
18K01599
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
新海 哲哉 関西学院大学, 経済学部, 教授 (40206313)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 隆夫 立命館大学, 経済学部, 教授 (10258494)
北村 亮真 追手門学院大学, 経済学部, 講師 (30801831)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 外国為替リスク / 直接投資 / 子会社への部品供給 / 子会社からの利潤送金 / 短期均衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
外国為替が、対数正規分布をしていると想定して、中国人民元、台湾ドル、タイバーツ、インドルピーなどの本国通貨建て外国為替レート時系列データを用いて分布の標本平均、標本分散、標本標準偏差を推定し、その推定結果を基に、論文の外国為替の分布に関する仮定を置きなおし、外国為替リスク下の国際寡占と直接投資による外国子会社と外国市場でのライバル企業の寡占市場における行動とその結果生ずる市場での帰結に外国為替リスクが及ぼす影響を分析した。より具体的には、外国市場に子会社設置で直接投資する国内の寡占企業数が外生的に与えられる短期均衡を導出し、その結果、本国通貨建ての財の部品の単位費用が、本国為替リスクに対する本国親企業の態度を勘案して本国通貨建てに直した、外国での部品の単位費用より安いという仮定の下で、次の結果を導いた。 1)外国子会社の均衡生産量は、ライバルである外国企業の生産量を上回り、外国為替リスクが比較的大きいとき、本国親企業の為替リスク変動を許す程度が小さく子会社が正の生産をするならば、均衡において、ライバル外国企業の利潤<外国子会社の期待確実性同値額<外国子会社の期待利潤という関係が成り立つ。 次に、外国為替リスクの変化が、均衡での外国子会社、ライバル外国企業の生産量、均衡価格などに及ぼす影響を吟味した。そこで次の結果を得た。 2)本国親企業が、弱い(強い)意味で為替リスク回避的であれば、為替レートの変動が増加すると、子会社の均衡での生産量と子会社全体の総生産量は非減少(減少)」となり、ライバル外国企業の均衡での生産量と外国企業全体の総生産量、均衡価格は非増加(増加)となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の対応で、研究以外の教育業務(オンライン講義ビデオ作製、授業資料、学生への自宅での課題レポートの作成と採点指導)に追われ、当研究課題にたいする研究に、研究代表者、研究分担者ともに十分に時間と労力を割くことができなかった。 特に研究代表者は2020年度後半の6か月間、オーストラリアに在外研究のため短期留学予定であったが、オーストラリア政府のビザの発行、外国人の入国の停止が行われていた(現在も継続中)ため、留学を延期せざるを得ず、そうでなければ免除されていた授業も急遽新たな科目を開講したため、授業準備に多くの時間と労力を割かざるを得なかった。このため、2020年度が本研究期間の最終年度であったが、研究期間の延長を申請せざるを得なかった。 これに加え、研究代表者が3月初旬に、脳内出血で緊急入院したため、研究成果のとりまとめも困難であった。現在も我が国を含め、世界で新型コロナウイルス感染拡大のうちにあるものの、入院加療の結果、研究代表者は重い障害が残ることなく退院し、現在通院療養中である。7月には職務に復帰し研究分担者とともに当研究課題の研究を遂行する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度までの研究では、外国為替リスク下の国際寡占と直接投資による外国子会社と外国市場でのライバル企業の寡占市場のおける行動と、その結果生ずる市場での帰結に外国為替リスクが及ぼす影響を分析した。具体的には外国市場に子会社設置で直接投資する国内の寡占企業数が外生的に与えられる短期均衡を導出し、均衡の諸性質を吟味した。 その際「本国通貨建ての財の部品の単位費用が、本国為替リスクに対する本国親企業の態度を勘案して本国通貨建てに直した、外国での部品の単位費用より安いという仮定」を置いて分析して、一定の結論を得た。 しかしながら、自動車産業、機械産業など日本の主要な製造業の現状を見ると、最終財メーカーのみならず、それらに部品を供給する部品等の中間財メーカーも直接投資により海外に子会社を設立し、それらの子会社との連結決算によって、海外からの売上高並びに収益が増加するなど企業活動のグローバル化が進んでいる。 こうした現実を基に理論分析を行うには、2020年度までの、「本国通貨建ての財の部品の単位費用が、本国為替リスクに対する本国親企業の態度を勘案して本国通貨建てに直した、外国での部品の単位費用より安いという仮定」とは、まったく正反対の「本国通貨建ての財の部品の単位費用が、本国為替リスクに対する本国親企業の態度を勘案して本国通貨建てに直した、外国での部品の単位費用より高いという仮定」での分析が必要であると考えるに至った。そこで2021年度は、この仮定の下で、外国為替リスク下の国際寡占と直接投資による外国子会社と外国市場でのライバル企業の寡占市場のおける行動とその結果生ずる市場での帰結に外国為替リスクが及ぼす影響に関して、分析を行う。 まずは、外国市場に子会社設置で直接投資する国内の寡占企業数が外生的に与えられる短期均衡を導出し、均衡の諸性質を吟味する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、国内外への学会報告・調査などの出張ができなかったため、旅費が大幅に未執行となった。加えて、新型コロナウイルス感染拡大により、研究以外の教育業務(オンライン講義ビデオ作製、授業資料、学生への自宅での課題レポートの作成と採点指導)に追われ、当研究課題にたいする研究に、研究代表者、研究分担者ともに十分に時間と労力を割くことができなかった。このため、研究成果のとりまとめと論文の執筆が遅れ、英文校閲費用の執行もできなかったため次年度使用額が生じた。 2021年度も現在、わが国でも新型コロナウイルス感染は拡大しているが、ワクチン接種等で感染状況が落ち着けば、研究分担者とともに研究を進め、関連した国内外研究者との打ち合わせと成果のとりまとめを行い、旅費、適宜Webによる通信などを活用し、解析ソフトウェア、統計シミュレーションソフトを用いた数値シミュレーションなどを行って分析を進める。その際、旅費、謝金、論文の英文校閲、ZoomやDropBox等のデータ管理等の利用料、ソフトウェア等が必要となるため、研究費を執行予定である。
|
Research Products
(4 results)