2021 Fiscal Year Research-status Report
A Theoretical Study on International Oligopoly and Foreign Direct Investment under Foreign Exchange Risk
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18K01599
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
新海 哲哉 関西学院大学, 経済学部, 教授 (40206313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 隆夫 立命館大学, 経済学部, 教授 (10258494)
北村 亮真 追手門学院大学, 経済学部, 講師 (30801831)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 外国為替リスク / 直接投資 / 子会社への部品供給 / 子会社からの利潤送金 / 短期寡占均衡 / 本国親企業の外国為替リスクへの態度 |
Outline of Annual Research Achievements |
自動車産業、機械産業など日本の主要な製造業の現状を見ると、最終財メーカーのみならず、それらに部品を供給する中間財メーカーも直接投資して海外に子会社を設立し、それらとの連結決算によって海外の売上並びに収益を目指す、活動のグローバル化が進んでいる。2021年度は、こうした現実を理論分析するため、前年度までの「本国通貨建ての財の部品の単位費用は、外国為替リスクへの本国親企業の態度を勘案した本国通貨建て外国輸出部品の単位費用より安い」という仮定」と正反対の、「本国通貨建ての財の部品の単位費用が、外国為替リスクへの本国親企業の態度を勘案した本国通貨建て外国輸出部品の単位費用より高い」という仮定の下で分析を行った。 この仮定の下、外国為替リスク下の国際寡占と直接投資による外国子会社と外国市場での外国企業の寡占市場での行動と、その結果生ずる市場での帰結に外国為替リスクに対する本国親企業の態度が及ぼす影響を明らかにするため、外国市場に子会社設置で直接投資する国内の寡占企業数が外生的に与えられる短期均衡を導出し、均衡の諸性質を吟味した。その結果、「(1)外国為替リスクを本国親企業がそれほど重視しないとき、外国の子会社の短期均衡生産量は、外国企業の短期均衡生産量より小さく、逆に外国為替リスクを本国親企業が回避したいと思うとき、外国の子会社の短期均衡生産量は、外国企業の短期均衡生産量を上回る。」「(2)外国の子会社の均衡生産量が正であるならば、短期均衡での外国子会社の利潤の期待確実性同値額は、外国子会社の期待利潤を下回る。」「(3)外国為替リスクを本国親企業がそれほど重視しないとき、外国の子会社の短期均衡利潤は、外国企業の短期均衡利潤を下回り、逆に外国為替リスクを本国親企業が強く回避したいと思うとき、外国の子会社の短期均衡利潤は、外国企業の短期均衡利潤を上回る。」ことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ禍でリモート勤務による運動不足とストレスにより、2021年3月に研究代表者が体調を崩して入院加療しその後も療養したため、課題研究の進捗ととりまとめが大幅に遅れたため。 また、2020年度から新型コロナ過でサプライチェーンが機能マヒを起こし、グローバル化した企業活動が大幅に停滞し輸出入など国際貿易が混乱し、研究当初とは異なる状況が起ったため、理論モデルの想定を大幅に変更せざるを得なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の体調も回復し、通常の教育研究ができる状態となり新型コロナ感染状況も落ち着いてきたので、研究課題の分析を進める予定である。一方、新型コロナ禍後、アメリカでは急激なインフレーションの抑制のため、FRBが金融引き締め政策を進められ、長期金利が上昇したため外国為替市場では大幅な円安になりつつある。こうした中、本研究課題の外国為替リスクが、海外への触接投資による子会社を設立し利益送金を受ける寡占企業とその子会社の外国市場での行動、市場成果に大きな影響を与えたことについての分析は極めて重要である。 2021年度段階で、こうした世界の経済状況の変化に対応できる、仮定の変更とモデル改訂の準備はある程度できており、未刊行ながら一定程度、研究成果も出ている。 以上の状況から、2020年度は本課題の最終年度となるが、研究代表者は年度後半にサバティカルの機会を得て研究に専念できるため、現在の世界経済状況を扱える仮定の下でモデルの改訂と理論分析を行い、研究の進捗と成果とりまとめの統括に精力的に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
(1)研究代表者が2021年度のはじめ体調を崩し入院加療し一時研究活動を停止したため、備品、その他の経費執行ができなかった。(2)研究代表者および分担者とも、授業時の新型コロナ感染症感染防止対策のため、オンラインによる教育など、研究以外の業務負担が増加し、研究活動に停滞が生じた。(3)2020年度に引き続いて、新型コロナ感染症の拡大のため、予定していた国内学会、国際学会などへの出張ができず、旅費執行ができなかった。2022年度は、感染防止を継続しつつ、成果を論文にまとめるなど研究に励み、研究費は調査、研究打合せ、成果報告出張等の旅費、査読付き雑誌投稿準備のため、英文校閲料、投稿料、Zoom利用料等の通信料等に執行予定である。
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Research Products
(3 results)