2019 Fiscal Year Research-status Report
MRIの医療技術評価分析モデルとガイドラインの作成
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18K01642
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 美帆 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (70579622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 好男 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30507083)
別所 俊一郎 東京大学, 経済学研究科, 准教授 (90436741)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MRI / HTA / 医療経済 / ガイドライン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、研究代表者の出産・育児により研究の中断期間があったため、再開した2020年1月から3月までの3か月間の実績について報告する。 本来は1月より、計画にあるMRI保有施設からの問題抽出、モデル構築を中心に研究を再開する予定であったが、新型コロナウィルスの流行のためMRIの撮影や読影を行う医療従事者を招いた検討会等の開催が困難となった。そのため、ガイドラインのアウトラインを構想する作業を先に行った。具体的には国内外での論文や類似する医療機器の導入に関する既存のガイドライン等の調査を行い、前研究課題で得られたアンケート結果と照らし合わせ、MRIの導入を検討する施設や保有する施設において求められている手順を考察した。 最新の論文等の調査において、検査プロトコルの検証にHTAを用いた論文が増えつつあるものの、MRIの導入や利用に関する医療経済的な視点からの分析方法を示すものは現状においてもまだ少ない。その中でもオーストリアのMRIの利用の適正化に関するHTAを検討したプロジェクトがあり、これについては参考になる可能性があり、現在調査継続中である。また、前研究課題の調査結果から常勤の放射線科医や診療放射線技師等がいないMRI保有施設が多く、読影されずいわゆる撮りっぱなしになっている検査が多いこともわかっているため、機器導入に際して専門家の知見から最低限検討すべき項目についてもわかりやすくガイドラインに示すことが重要であると考え、アウトラインを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、研究代表者の育児等により研究の中断期間があったため、2020年1月より研究を再開している。見直しを行った後の研究計画を基準に考えると、計画の前後はあるものの順調に進んでいると考える。計画の前後については、当初、前研究課題のアンケート調査において、記述回答にて得られたMRIの利用に関する部分の調査結果において、現場の専門家(放射線科医、診療放射線技師等)を招いて、問題点の抽出を行う予定であったが、新型コロナウィルスの流行により、検討会等の開催が困難となったことが主な原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず初めに、前研究課題のアンケート調査で得られたMRIの保有および利用状況に応じ、医療機関レベルで抱える問題を抽出する。次にそれらの問題点をデータ分析しうるモデル(デシジョンツリー等)を検討しその構築を行う。モデルの検証を行ったうえで、分析方法に関するガイドラインを作成し、エクセル等の一般的なソフトウェアを用いて利用ができるように書き換えたモデルと合わせて無料配布を行う。 具体的な計画は以下のとおりである。1.MRI保有施設における問題点の抽出:前研究課題の集計結果を用い、必要に応じて臨床現場からのヒアリングを行い、問題点の抽出を行う。2.モデル構築:TreeAge Pro等のモデル作成専用のソフトウェアを使用して、MRIの導入に関するモデル(例として「MRI導入の要否」「機種選定」「スペック比較」等)、MRIの利用に関するモデル(「検査枠の設定」「検査部位」「検査オーダー」「読影方法」等)、の構築を行う。3.テスト分析:精査したモデルの検証を行うため、入力値のリストアップと、感度分析において変動させるべきパラメータおよび変動値を決定する。4.分析結果の考察、研究の成果の公表:2.のシミュレーション結果を関係する研究会や学会で公表しモデルのブラッシュアップをおこなう。5.ガイドライン素案の作成:ガイドラインの素案をまとめる。医療従事者つまりHTA初学者を対象とすることに留意し、実務者に適宜相談の上最終化を目指す。また、モデルが最終化したところで、Micro soft Excel等の一般的なソフトウェアにモデルを書き出す 。6.ガイドラインの提案と啓発:ガイドラインの公表を行い、学会や業界団体 等を通して成果物の利用啓発活動を行う。
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Causes of Carryover |
初年度の繰越があり、主に研究班の会合運営に使用する予定であったが、研究再開後の2020年1月から3月には新型コロナウィルスの流行もあり、会合が設けられなかったため、繰越金は使用できていない。未使用額は、テレカンファレンス等の準備資金として次年度以降に使用したいと考える。
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