2018 Fiscal Year Research-status Report
近現代台湾の中小零細工業-戦前と戦後の接続を中心に-
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18K01725
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
堀内 義隆 三重大学, 人文学部, 准教授 (90550492)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 工業化 / 台湾 / 中小零細工業 / 繊維産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「研究の目的」として、日本統治期から中華民国期への転換期における台湾の中小零細工業を対象として、それらの中小零細工業が戦前から戦後にかけて如何なる継続性を有していたのかということと、戦後台湾の工業化の中心となった繊維産業の歴史的前提として、日本統治期の台湾における繊維市場の形成の実態が如何なるものであったのかということを解明することを挙げた。 これらの目的を遂行するために、「研究実施計画」として五つの具体的な課題を挙げた。すなわち、(1)日本統治期に存在した中小零細工業の中華民国期への統計的接続、(2)人的資源面における戦前・戦後の接続の分析、(3)日本統治期における繊維市場の実態把握、(4)終戦直後の中小零細織物業者の実態把握、(5)日本統治期と中華民国期の繊維市場・産業の関連性の解明、の五点である。 平成30年度には、上記の「目的」のうち前者の中小零細工業の継続性という問題については、研究費申請時点で既に収集済みであった工場関係資料の分析に着手した(上記(1)の課題)。 また、後者の繊維市場の問題については、台湾に存在する資料を調査し収集することに注力した(上記(3)、(4)の課題)。2018年9月には、台北市や新北市内の大学、図書館、史料館において資料調査・収集を行い、2019年2月には、台中市内の図書館を中心に資料調査を行った。これらの資料調査によって入手した資料の分析については、ほとんど未着手の状態であるため、次年度以降の課題とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、台湾の工業化という歴史的現象を長期的な歴史過程の中で理解するための基礎研究として、日本統治期と中華民国期を通じた中小零細工業の実態を解明することと、日本統治期における繊維市場と中華民国期における繊維産業の勃興の関連を解明することを二本の柱としている。 平成30年度は、これらの二本の柱の解明において必要となる基礎作業を行うことに注力した。前者に関しては、工場関係の統計資料の整理と分析であり、後者に関しては、繊維市場・産業関連資料を現地で調査・収集することである。いずれも、作業途中で年度末を迎えたため、具体的な成果という形をなしてはいないが、2度の現地調査を行ったことも含めて、概ね予定通りの進捗状況であると判断できる。ただ、国内の大学・研究機関に所蔵されている資料を十分に調査する時間がとれなかったことは、次年度の課題として残された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、前年度に引き続き、研究に必要な資料の調査・収集を継続的に行う。特に、前年度に不十分であった国内の大学・研究機関に所蔵されている資料の調査・収集にも重点を置く。 また、前年度に収集した資料を読み、整理・分析してゆく作業が、今年度の研究の中心的な作業課題である。
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