2018 Fiscal Year Research-status Report
The development of the Western style consumer goods industry in prewar Japan: A case study of the towel weaving firm, Inaoka Shoten.
Project/Area Number |
18K01738
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
佐々木 淳 龍谷大学, 経済学部, 教授 (10244766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 光 神戸大学, 経済学研究科, 講師 (00713017)
今泉 ひとみ (宝利ひとみ) 立教大学, 経済学部, 助教 (80804187)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | タオル製造業 / 経営史的研究 / 力織機化 / 稲岡商店 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である平成30年度は、地域の人々で運営されている「稲岡工業株式会社文書」保存会の全面的な協力を得て、(1)研究対象である稲岡商店(タオル製造業)の経営文書(稲岡工業株式会社文書)の移動作業・整理と(2)史料調査会を実施するとともに、(3)保存会主催のイベントに講師として参加した。 (1)の移動作業は、史料の保管先である稲岡鉄工株式会社の都合で史料の保管場所を新たに構内の別の場所に移し替える必要が生じたために行ったもので、移動作業と併せて、保存会の有志と史料の整理も行った。これにより、今後の史料調査等に向けての環境が整った。なお、メンバーの一部(田中光・渡辺千尋)は、稲岡工業株式会社文書の整理・普及活動の一環として、地域の「播磨の綿まつり」(2018年11月3日)に参加した。 (2)の史料調査会は計画段階から予定していたもので、研究協力者も含めたメンバーの銘々が、整理済みの史料群から担当部門の経営文書を抽出し、史料の撮影・複写を行った。 (3)のイベントは、保存会が主催者として例年行っているもので、今回は「稲岡工業株式会社文書170年の足跡 1841-2012年」(兵庫県政150周年記念関連事業 県政150年と共に)と題するワークショップとなり、研究協力者も含めたメンバー全員が講師として参加した。史料の保管場所(稲岡鉄工株式会社事務所棟2階)を会場としてオープンに開催されたもので、保存会に属されていない地域の方々とも史料(「稲岡工業株式会社文書」)をめぐって活発に意見交換ができた。また、図らずも、メンバー同士での議論の中で、今後、戦前期の稲岡商店の経営展開に関する経営史的研究を進めていくうえでの有益な論点(①なぜ、綿(ワタ)からタオルに転換したのか②1919年頃の力織機化をめぐる諸問題[資金蓄積・生産体制の再編・内外の市場問題など])を掘り起こすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画にある通りに、研究協力者も含めての史料調査会を実施することができた。もっとも、メンバーの都合により、一堂に会しての調査会は1回しか行えなかったが(計画では2回)、銘々が、必要に応じて、単独の史料調査を行い、研究計画に支障をきたさないように努めた。 また、当初予定していなかった、「稲岡工業株式会社文書」保存会主催のワークショップにメンバー全員が講師として参加することができ、メンバー同士の議論の中から、今後、戦前期稲岡商店の経営史的研究を進めていくうえでの有益な論点(①なぜ、綿(ワタ)からタオルに転換したのか②1919年頃の力織機化をめぐる諸問題[資金蓄積・生産体制の再編・内外の市場問題など])を共有できるという思わぬ成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、本研究課題は、当初の実施計画に沿って、ほぼ順調に進めてこられている。来年度も、当初の計画通りに、今年度の成果を受けて、遅くとも年度後半には中間報告会を開きたい。そうして、研究協力者も含めたメンバー各人が史料の検討結果を持ち寄り、戦前期の稲岡商店の経営展開に関する議論を、今年度に掘り出した論点(①なぜ、綿(ワタ)からタオルに転換したのか②1919年頃の力織機化をめぐる諸問題[資金蓄積・生産体制の再編・内外の市場問題など])を中心に深めていきたい。 また、こうしたメンバーのみの中間報告会とは別に、「稲岡工業株式会社文書」保存会や地域の人々との意見交流の場も、来年度も引き続き、何らかの形で持つようにして、研究成果の地域へのフィードバックに努めたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、主に、研究協力者も含めた一堂に会しての史料調査会が予定より1回少ない実施となったことと、年度中に予定していた海外(上海)での史料調査(2週間)が取り止めになったことがあげられる。次年度の使用計画については、上記理由のうち後者の点に留意して次年度請求額を(直接経費)若干(10万円)減額したうえで、当初予定の海外調査を代替史料の発掘を見込める国内での史料調査に切り替え、主に、それに関わる諸経費に充てていく。
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Remarks |
佐々木淳・西向宏介・渡辺千尋・宝利ひとみ・田中光「科研費「戦前期日本における洋式消費財産業の展開――タオル製造業 稲岡商店の事例に即して」(研究代表者・佐々木淳)グループの先生方の自己紹介と記念誌『稲岡文書170年記念・わたの里通信誌』に寄せて」『わたの里通信誌』第5号、2~6頁、2019年。 「稲岡工業株式会社文書」保存会主催ワークショップ(2019年3月3日)に講師として全メンバー参加。
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