2019 Fiscal Year Research-status Report
The development of the Western style consumer goods industry in prewar Japan: A case study of the towel weaving firm, Inaoka Shoten.
Project/Area Number |
18K01738
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
佐々木 淳 龍谷大学, 経済学部, 教授 (10244766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 光 中央大学, 経済学部, 准教授 (00713017)
今泉 ひとみ (宝利ひとみ) 立教大学, 経済学部, 助教 (80804187)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 稲岡商店(タオル製造業) / 稲岡工業株式会社文書 / 稲岡商店分工場跡地見学会 / 「稲岡工業株式会社文書」保存会主催のイベント / 中間報告会 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目である2019年度は、地域の人々で運営されている「稲岡工業株式会社文書」保存会の全面的な協力を得て、(1)研究対象である稲岡商店(タオル製造業)の経営文書(稲岡工業株式会社文書)の史料調査と(2)稲岡商店分工場跡地見学会を実施するとともに、(3)保存会主催のイベントに参加した。また、研究実施計画にある中間報告会を2月16日に龍谷大学(研究代表者の所属機関)で開催した。 (1)の史料調査は、各メンバーが担当分野での必要に応じて適宜行ったものである。なお、初年度に引き続き、メンバーの一部(西向宏介・渡辺千尋)が地域の「播磨の綿まつり」(11月3日)に参加した。 (2)の稲岡商店分工場跡地見学会は、現地の土地勘を身につけるべく5月26日に実施した。最大で30近く点在していた分工場(手織機によるマニュファクチュア)のうちの19跡地を保存会の有志と廻ることで土地勘が得られるとともに、メンバー間での情報共有が進んだ。 (3)のイベントは、例年保存会主催で行っているもので、「第7回わたの里の記録 稲岡工業株式会社文書から見えてきたこと」と題し、ワークショップと文書史料の展示会が3月1日に予定されていたが、コロナ対策のためワークショップが中止となった。参加可能なメンバー3名(佐々木淳・田中光・西向宏介)で、展示会来訪者への応答等を行った。 最後に、中間報告会では、検討結果を突き合わせるなかで、今後の方針として、稲岡商店に関する基礎的な経営情報(生産量・輸出規模・輸出先、労働者数・機械化の状況、資本規模・金融機関との取引関係など)を共有したうえで、初年度の保存会主催イベントで掘り起こされた2つの論点(①「わた」からタオルへの転換要因 ②1919年頃の力織機化をめぐる諸問題[資金蓄積・生産体制の再編・内外の市場問題など])から派生する各担当分野の諸テーマに取り組むことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画にある通りに、メンバーのみの中間報告会とそれに向けた個々の担当分野での問題意識にもとづく現地での史料調査を進めることができた。中間報告会は年度後半に1回のみの開催であったが(計画では2回)、これは、年度前半に稲岡商店分工場跡地見学会を「稲岡工業株式会社文書」保存会有志と協働で実施したためである。当時の印南郡と加西郡に広範に点在した分工場の跡地を地元の人々と廻る機会は、土地勘に乏しいメンバーにとっては大変貴重なものであり、中間報告会とは別の形でメンバー間での史料検討結果に関する情報共有ができた。 このように、今年度の研究は、2月の中間報告会まで、地元の保存会との連携も一層強めながら研究実施計画にプラスアルファする形で順調に進められてきた。しかしながら、新型コロナの感染拡大によって、メンバーにとっては中間報告会を受けての研究成果を地域社会にフィードバックする場でもあった年度末恒例の現地でのワークショップが、思いがけず直前に中止を余儀なくされたのは、研究の進展にとって大きな「損失」となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進め方としては、2月の中間報告会で確認された基本方針(稲岡商店に関する基礎的な経営情報を共有したうえで、初年度の保存会主催イベントで掘り起こされた2つの論点から派生する各担当分野の諸テーマに取り組んでいくこと)を堅持して、3年目の達成目標である「経営展開の全体像の構築」を目指したい。ただし、コロナ禍で見通せない部分が多く、たとえば年度末のワークショップの穴埋めや現地での史料調査の実施などは現時点(2020年5月中旬)でも未定である。したがって、上記の基本方針に沿って研究は進めるものの、「稲岡工業株式会社文書」保存会との交流面でコロナ禍の制約を受け、コロナ禍に見舞われなければ見込まれたであろう成果までは到達しない可能性は十分にある。
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Causes of Carryover |
研究分担者1名が年度後半から産休に入ったため。今年度は本研究に復帰されるので、その活動費に費消されるものと思量する。
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