2020 Fiscal Year Research-status Report
The development of the Western style consumer goods industry in prewar Japan: A case study of the towel weaving firm, Inaoka Shoten.
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18K01738
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
佐々木 淳 龍谷大学, 経済学部, 教授 (10244766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 光 中央大学, 経済学部, 准教授 (00713017)
今泉 ひとみ (宝利ひとみ) 立教大学, 経済学部, 助教 (80804187)
渡辺 千尋 東洋大学, 経済学部, 講師 (50812731)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 稲岡商店(タオル製造業) / 稲岡工業株式会社文書 / 「経営展開の全体像の構築」 / 「稲岡工業株式会社文書」保存会主催のイベント / 研究報告会 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年目である2020年度は、まず、例年通り、地域の人々で運営されている「稲岡工業株式会社文書」保存会の全面的な協力を得て、研究対象である稲岡商店(タオル製造業)の経営文書(稲岡工業株式会社文書)の史料調査を実施した。これは、各メンバーが担当分野での必要に応じて適宜行ったもので、コロナ禍の影響により度々延期もしくは中止を余儀なくされながらも、少しでも各自の研究を進捗させるべく出張制限の合間を縫って実施された。また、前年度に引き続き、メンバーの有志(田中光)が地域の「播磨の綿まつり」(11月3日開催)に参加した。 次に、研究報告会を、当初の実施計画通り、年度後半の2回(9月12日・2月14日)にわたって、いずれもコロナ感染予防のためオンライン(Google Meet)で開催した。第1回目では、前年度の中間報告会で確認された方向性に従って、田中光の報告(「近代日本における地方からの輸出産業の発達-稲岡商店の事例-」)に基づきながら、稲岡商店に関する基礎的な経営情報(タオル生産量・輸出規模・輸出先、労働者数・力織機化の状況、資本規模・金融機関との取引関係など)の共有を図った。第2回目では、この共有知見を前提としつつ、初年度の保存会主催イベントで掘り起こされた2つの論点(①「わた」からタオルへの転換要因②1919年頃の力織機化をめぐる諸問題[資金蓄積・生産体制の再編・内外の市場問題など])から派生する各担当分野の諸テーマの報告が行われた(西向宏介「在来綿織物産地変容過程の様相」・渡辺千尋「輸出雑貨工業の市場情報の獲得」・佐々木淳「稲岡商店本店工場・分工場における職工について」)。なお、メンバーの中には、コロナ禍によって国際学会報告が中止(次年度に延期)になったことで研究の遅滞を余儀なくされた者がいることを付記しておく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍に見舞われながらも、研究実施計画にある通りに、メンバーのみの研究報告会(年度後半の2回)の開催と、それに向けた個々の担当分野での問題意識にもとづく現地での史料調査を、諸々の制約の中にありながら進めることができた。その結果、当初の目標である「経営展開の全体像の構築」については、戦前期の途中までではあるが、何とか達成できたように思われる。 ただし、新型コロナの感染拡大によって、メンバーにとっては研究報告会を受けての研究成果を地元の地域社会にフィードバックする場でもあった年度末恒例の現地でのワークショップ(「稲岡工業株式会社文書」保存会主催の「第8回わたの里の記録」)が中止(次年度に延期)となってしまい、このことは、前年度に引き続いて、共同研究の進展にとって大きな「損失」となった。こうしたこともあって、当初のもう一つの目標であった研究成果の取りまとめには、残念ながら至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度を迎えるに当たり、コロナ禍の影響でやや遅れている研究成果の取りまとめに向けて、メンバー各自が進めている諸テーマ追究の速度を高めるとともに、より完成度を増していくことを目指したい。とは言うものの、追究速度を高めようにも、完成度を増すために必要不可欠な現地での史料調査が、緊急事態宣言等の発出によって制約を受けるのは避けられない現実であり、今年度と同様に、その合間を縫っての調査に活路を見出していくほかはなかろう。 ただ、コロナの感染拡大により2年連続で中止もしくは延期を余儀なくされた現地でのワークショップ(「稲岡工業株式会社文書」保存会主催の「第8回わたの里の記録」)は、6月下旬にオンライン可能な会場(地域振興産業センター[兵庫県加古川市志方町])で設定してあり、開催の見込みはある。地元関係者も交えた幅広い意見交換を通じての「刺激」を糧に検討内容の深化を図りながら、研究成果の取りまとめに努めていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、学生アルバイトを使用した資料整理等が中止となったうえに、協力者の史料調査が中止・延期となったため。次年度もコロナ禍の継続が予想されるため、支出費目を変更して費消したい。
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Research Products
(5 results)