2018 Fiscal Year Research-status Report
Estimating Human Resource Abundance in Terms of Economics and Management Studies
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18K01799
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宇都宮 譲 長崎大学, 経済学部, 准教授 (60404315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 勝彦 長崎大学, 経済学部, 教授 (00208935)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人的資源量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、人的資源量が時系列に応じて変化する機序を検証した。データはタイ王国政府が作成するLabour force survey(1997-2017年)集計結果中、Current labour forceの項目を用いた。同項目は本研究が着目する人的資源量に定義上もっとも近接している。同国における人的資源量推定には、状態空間モデルを採用した。推定にあたって、統計解析環境Rを用いた。MCMCサンプラにはStanを用いた。モデルは収束(Rhat < 1.05)した。結果を用いて、利用された人的資源量と利用しえる人的資源量との差異を検討した。
結果は以下3点である。第一、20-30代において2010年以降人的資源量に余裕がみられる。理由は不明。近年、同国においても若い労働力における人手不足が主張されるが、本推定結果は同主張を積極的には支持しない。第二、40-60代はアジア金融危機後に人的資源量に余裕が観測されたが、近年は人的資源量に余裕は観測されない。なぜ不況期に人的資源量が減少するか理由は不明。第三、人的資源量は年級毎に異なる推移を見せる。トレンドもローカルレベルも年級毎に異なることが推定された。ローカルレベルがトレンドよりも相対的に大きいことも確認された。数十年後には各年級において人的資源量に不足が観測される見込み。
以上から、人的資源量検討には年級毎に検討する必要があること、年級別人的資源量差異はローカルレベル差異に多く由来することが示唆された。また、人的資源量推定に状態空間モデルが有効であることも理解された。 上記によって、国際会議IBMRCにおいて、Best impact awardを授与されたことを付記する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定したデータ収集は予定通りに進んだ。タイ政府によるデータ公開が申請時よりも大幅に進んだおかげで、入力作業が不要になったことが理由である。ただし収集したデータ整理にはなお時間を要する見込み。
研究発表2件と招待講演1件は予定よりも多い。論文投稿は予定よりも遅れている。上記手法を環境科学領域に応用する共同研究に着手したこと、手法に関するワークショップを実施したことが論文投稿遅延をもたらした。
総じて、ほぼ予定通りに研究が進んだと結論付ける。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 論文執筆:2018年度から引き続き実施する。11月と12月に国際会議において発表予定。 2. 集計値を用いて地理的分布が人的資源量に与える影響に関する研究:地理的自己相関を加味した人的資源量推定を実施する。タイ王国において人口は首都と周辺に偏在することが知られる。労働力も偏在することが想定されるが工場立地等を検討する必要があり、人口とは異なる挙動を示すことが想定される。地理的単位は都県を想定する。 3. 個票データを用いた研究:属性をより細分化しつつ経年変化や地理的偏在に由来する間接効果を切り分けるために実施する。公開される集計済データにて同効果を切り分けることは可能ではあるが制約が大きくまた地理的単位が大きくなる。タイ政府当局とは折衝済。チェンマイ大学と共同して実施する。 4. ローカルレベルおよびトレンド差異をもたらす要因を検討する。2018年度推定結果より導かれた差異をもたらす要因を検討する。
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Causes of Carryover |
昨今の円安傾向に影響され文献価格が上昇しており、物品費は予定を超過した。一方、タイ人的資源量推定に関する集計データ収集がオンラインにて可能になった。2018年度に予定していた出張旅費を節約することができた。
節約によって得た額は、2019年度以降実施する運びとなったチェンマイ大学およびタイ政府との個票を用いた研究打ち合わせ旅費に充当する。これによって、時系列・空間を加味した人的資源量推定が可能となる。本研究をさらに発展させることが可能となろう。
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Research Products
(5 results)