2020 Fiscal Year Research-status Report
Estimating Human Resource Abundance in Terms of Economics and Management Studies
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18K01799
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宇都宮 譲 長崎大学, 経済学部, 准教授 (60404315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 勝彦 長崎大学, 経済学部, 教授 (00208935)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人的資源量 / タイ / 労働力調査 / 衛星画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス流行と政変にて、個票を用いた研究は実行不能となった。結果、成果は2019年度までに取り組んだ内容を国内外にて発表するにとどまった。ただし、タイ都県別データ整理はかなり進めることができた。 新型コロナウイルス流行先行きは不透明である。個票を用いた研究は順延する。昨年度整理した都県別データと衛星画像から得られる指標とを中心に研究をすすめる。 当該年度における実績は、以下に示すとおりである。第一、タイ労働力調査集計結果から、都県・年齢階級別労働力データを整理した。既往研究が参照する地域別データよりもより詳細であり、地理的な影響を加味することを可能にする。フォーマットなどに問題があり従来は用いられてこなかったものと考えられるが、本研究はデータ処理上の障害を克服してデータを作成した。現在、分布などを検討中である。第二、地方(バンコク都・中部・東北部・北部・南部)別労働力データを整理した。2013年から2014年にかけて、急激な労働力人口増減が観測された。おそらく調査方法が変更されたことが理由と考えられるが、詳細は今後検証する必要がある。成果発表は、オンライン学会にて発表するにとどまった。 本年度取り組んだ内容にがもたらす最大の意義は、今後のデータ処理を円滑にすすめる三段をつけたことである。衛星画像取得と処理には莫大な時間を要する。労働力調査結果処理にも同様に時間を要する。こうした時間がかかる処理をおおかた終了させたことで、今後は分析に時間を割くことができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は個票を用いた分析をすすめる予定であった。しかし、新型コロナウイルスおよび首都バンコクにて発生した政変にて個票入手は叶わなかった。今後もしばらくこうした状況が継続すると考えられる。 成果発表はこれまでの成果をとりまとめて、国内外にてオンライン発表するのみにとどまった。 本年度新たに取り組んだ事柄は、労働力調査データ整理である。都県別データは、77つある都県別に、四半期毎に公表される。都県別データは詳細かつ地理的影響を加味した分析を可能にする。都県別データ自体は、本研究が昨年度取り扱った全国データや地方(バンコク都・中部・東北部・北部・南部)別データとは異なる特徴を有する。たとえば、フォーマットが都県や年次毎に異なる。数千個あるファイルに収納されたデータを自動的に読み込むには、工夫が必要である。現在、各変量について、記述統計量を算出し密度プロットを描画、各データにおける分布を検討中である。 地方別データについても整理した。整理したデータによれば、2013年から2014年にかけて、バンコク都および中部において労働力人口急増が確認される、一方、東北部と北部、南部においては労働力人口急減が確認された。タイ全体においてはさほどの増減は確認されなかった。当該年次以降に実施されたタイ労働力調査において、労働者住所を出身地から比較的事業所が多い調査時点において居住する住所を採用するよう変更したと考えられる。ただし、同調査に関する報告書を読む限り、さような変更に関する記述は存在しない。今後、調査方法について当局に子細を確認する必要があると考えられる。また、明らかな急変があることは事実であるから、この急変を組み込んだ人的資源量推定モデル開発が必要であろう。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス流行は収束する気配を見せないことから、個票をもちいた研究は順延する。昨年度整理した都県別データと、衛星画像から得られる指標とを中心に研究をすすめる。 都県別データについては、就業状態・年齢階級別労働力人口勢力についてすでに分布を検討中である。今年度は労働時間および賃金に関するデータを整備・分析する。労働時間は総労働量を決定する重要な変数であり、賃金は人的資源移動を左右する重要な変数である。 一昨年度から取り組む衛星画像を用いた分析にも改善を加える。2021年度の課題は、以下3点である。第一、RGB空間が有する非直線性を較正する。既往研究によれば主成分分析を用いて非直線性を較正する。第二、画像指標を用いたモデリングを検討する。RGB画像を用いた指標は、マルチバンド画像同様に多数開発される。これらを用いることは、画像が有する特徴を表現しながら変数を縮減できるメリットがある。第三、過大なデータセットを処理する方法を検討する。画像から取得されるデータは、サイズが過大で処理に時間がかかる。とはいえ原色や過剰なラスタライズは情報量を損なう。情報量を維持しながら、計算時間が短くて済むような方法を検討する。 これらをとりまとめて、対象国における人的資源量変動モデルを開発する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスおよび政変発生にともない、タイ官庁統計当局とまったく接触できなくなった。結果、個票入手ができなかった。また、新型コロナウイルス流行にともない、タイに入国して実施予定であった調査がまったく実施できなかった。
2021年度は、以下に取り組む予定である。第一、都県データを整備する。都県レベルデータは公表されているが、データを統合するには時間と一定以上の性能を有する機器が必要である、以上、計算用ワークステーションおよび統計解析環境を整備する。渡航制限が緩和された場合に実施する現地調査も実施する。
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Research Products
(3 results)