2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K01801
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
宮下 さおり 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (30447586)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中小企業 / ジェンダー / 社会運動 / インフォーマル労働 / 自営業 / 税制 / 現代史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、中小企業政策が経営者とその家族をいかに組織し、中小企業経営に影響を与えたのかについて、ジェンダーの視角から歴史実証的な分析を深めるものである。ジェンダー公正な中小企業経営は、グローバルな政策課題である。そのための基礎作業として、歴史を振り返り、その構造をさぐる研究がかかせない。三年目にあたる本年度は、引き続き関連資料の読破と整理、各種中小企業団体の運動の特徴とその背景理解に努めた。 今年度は、本研究課題において重要な核となる中小企業者の社会運動について、文書資料に基づき理解を深めた。その際には、中小企業に関する税制や福祉諸制度の展開を把握するとともに、中小企業政策の歴史的展開に関して特に小規模事業者の視点から見るといかなるとらえかたができるかを検討した。 この作業と同時並行しておこなったのが、家族従業者の労働のようなインフォーマルな労働に関する議論に関し、英語で読める範囲での研究史の見直しである。インフォーマル/フォーマルの区分とその変化を問う研究は現時点で広範に存在し、一定の蓄積があり、その検討対象が発展途上国だけではなく先進国を含むものであることを確認した。 これらの作業により、本研究の目的である中小企業政策の歴史的展開を、ジェンダーの観点か見直す課題を深めた。当初の計画とは異なる部分があるものの、日本の歴史的展開に即した論点の提起および記述を可能にする重要な作業を行い得た。 この過程で明らかになった知見の一部は、既発表論文に反映し、次年度に公開される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症のため地理的移動ができなくなり、関係者への面接および現地を訪問しての関連資料の閲覧ができなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は歴史研究であり、基礎的な作業として、史資料の徹底的な掘り起こしと読解を欠かすことはできない。幸いなことに資料閲覧に関し貸与許可が得られた資料群があり、それらの読破を続けていく。また、事例の解釈をおこない、研究結果の発信につとめることにより、計画を達成する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により移動ができなくなった影響から、資料の閲覧や関係者への聞取りが難しくなり、出張費やテープ起こし等の費用が支出されなくなった。次年度は資料群の貸与を受けての分析をさらに進め、学会での研究成果発表など着実な発信につなげていく。
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Research Products
(1 results)