2020 Fiscal Year Research-status Report
部品標準化戦略と生産システムとの相互作用に関する企業間比較研究
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18K01866
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
宇山 通 九州産業大学, 商学部, 准教授 (50584041)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 部品共通化 / 製品多様化 / リスク / リターン |
Outline of Annual Research Achievements |
2000年代中頃から2010年代末に多様化した部品共通化アプローチのなかで,トヨタ,VWグループ,マツダの3社のアプローチに絞り,2019年度までの研究において,それぞれを個々別々に分析してきた。セグメント別構造共通化,隣接3セグメントに亘る構造共通化,全セグメントに亘る機能共通化が採用されたことを明らかにし,それぞれの設計上のルール・マネジメント,効果・弊害について,個々別々に論じてきた。 2020年度では,個々別々に論じてきた3つの部品共通化アプローチについて,一致点,相違点を明らかにした。これは各アプローチの方向性を把握する上で有効だからである。なぜならこの一致点は3つのアプローチの基本的傾向を意味し,相違点が3つのアプローチのポジショニング,棲み分けとして独自性を意味するからである。 2020年度研究の結論は次の通りである。モデル群に亘るフロントローディング設計と部品刷新に向けた巨額投資によるハイリスク・ハイリターン化が,上記3つの部品共通化アプローチに一致する特徴であり,これが3つのアプローチの基本的な傾向である。ただしセグメント別構造共通化はリスク・リターンにおいて相対的に安全志向であり,隣接3セグメントに亘る構造共通化は特にハイリスク・ハイリターンであり,機能の共通化はリターンとしてスケールメリットを捨て,設計の節約に狙いが絞り込まれていることから,これらリスク・リターンの取り方において,各アプローチのポジショニング,独自性を確認できる。3つの部品共通化アプローチの方向性は,ハイリスク・ハイリターン化という基本的傾向,その上でのリスク・リターンに関する各社のポジショニングにより形作られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス感染症の関係でインタビュー調査が困難となり,また学外図書館を活用した新規の資料調査も行いにくくなった。そのため2019年度までの研究成果を総合することとした。 新規の情報は組み込みにくくなったものの,総合自体はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
【研究実績の概要】欄に記載の通り,トヨタ,VWグループ,マツダが3社ともに,部品共通化アプローチをハイリスク・ハイリターン化させたのはなぜか。また3社においてリスク・リターンの取り方に違いが生じたのはなぜか。部品共通化のこの動態的展開に関する問題は,2021年度に研究していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,コロナウイルス感染症拡大のため,予定していた出張ができなくなったためである。 2021年度使用計画については次の通りである。第1に項目【今後の研究の推進方策】に述べた動態的展開の考察を効率化するために,紙ベースの資料のテキストデータ化を進めるが,そこに使用する。第2に書籍として研究成果をまとめあげた際に,校正業者に誤字脱字のチェックを依頼するが,そこに使用する。
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Research Products
(1 results)