2019 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Self-Expresion and Voluntary Branding
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18K01881
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
柴田 典子 横浜市立大学, 国際商学部, 准教授 (60347284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 聡 千葉商科大学, 商経学部, 講師 (10638191)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 消費者行動 / ブランド / 質的データ / 自己表現 / 自発的ブランディング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ブランドを「自己表現を通じて自己概念を変容させる存在」と捉え、当該ブランドのユーザーである消費者の自己とブランドが互いに影響しあうことで、消費者個人の中でブランド化していく過程(本研究では、これを「自発的ブランディング」と呼んでいる)を理論的・実証的に検証することが目的である。 主要な課題は5つあるのだが、研究期間の2年目である2019年度においては初年度の継続として、①中心的概念のひとつである「自己」に関連する既存研究レビューを行い諸概念等について整理を進め、②消費者がブランドで自己表現を行う源である「自己概念(自己イメージ)」、その時ブランドに映し出される「活性化された自己」、その手段となるブランドの「イメージ」という3要素の相互の関連性を明確化することが研究活動の中心であった。 ①の既存研究のレビューは、定期的に議論および用語、問題意識とその意義について議論を進めた。②は探索的な側面が強いため、毎年、学生から収集している「ブランドと自己についてのレポート課題」のデータの整理及び質的データ部分のコード化と質的データの分析方針についてのディスカッション、ならびにその課題において同時に収集している量的データの探索的分析を行った。後者の内容を具体的にいうと、ブランド・パーソナリティ尺度(J.Aaker, 1997)と、パーソナリティ尺度であるビッグファイブ(村上・村上 1999)の関連性について実証的分析を数年分のデータについて行った。また、質的データの分析も進め、一部のデータにおいてテキストマイニングを実施した。これらの結果について、途中経過段階ではあるが発表の候補となり得る結果も幾つか発見できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主要な課題のひとつである「自己」に関連する既存研究のレビューについて、前年度からの継続で進展はあったが、学会発表ないし論文化する段階までには至らなかった。 また、もうひとつの主要な課題である、ブランドのイメージと、消費者の自己概念(自己イメージ)の関連性について、探索的な実証分析を行ったが、こちらも学会発表ないし論文化にもう少しのところまで進捗したが、発表に至っていない。特に自己イメージについて、被験者から20答法で回答してもらい収集した質的データの解析に想定より時間がかかっている。 3月下旬に予定していた対面式の定性調査がコロナ禍のため延期せざるを得ず、一部、予定変更が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の3年目である2020年度は、初年度からの継続している①「自己」に関連する既存研究レビュー結果をまとめ、②「自己概念(自己イメージ)」「活性化された自己」「イメージ」の関連性を検証するといった、2つの主要な課題を前進させる(○数字は本研究における主要な課題番号)。 さらに、本年度は、③「自分を語る上で欠かせないブランド」だと消費者が認識している製品ジャンルを判別すること、④「自己表現に役立つブランドの特性」を明確化することが、基本方針となる。そして、最終年度の2021年度で、⑤以上の課題を検証した上で、本調査を行い自己概念とブランド・イメージの関連性と、自発的ブランディングを定量的に捉え、本研究の有効性を示す。 したがって、本年度の具体的な研究活動内容は、2019年度の発展となる。つまり、「自己」に関する研究のレビューすること、ブランドのイメージと消費者の自己概念(自己イメージ)の探索的な実証分析をより洗練化し今後の分析の方向性を得ること、同時に質的データの分析を発展させ、一定の成果を得ること、上記の研究内容を成果として学会発表ないし論文化すること、そしてその上で、最終年度へ向けた準備を完遂することである。 加えて、これまで対面式(オフライン)で行ってきたデータ収集方法を、オンラインによる収集に転換することも課題である。
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Causes of Carryover |
1)予定していた学会全国大会に研究分担者が日程的な問題により参加できなかったこと、2)収集したデータの全般的な整理・入力等の人件費・謝金支出を想定していたが、収集方法の改良により、一部、入力依頼の必要がなくなったこと、3)2)以外の収集したデータの整理・入力について年度内に作業依頼ができなかったこと、が主な理由である。 発生した次年度使用額は、上記3点に対して活用する予定である。
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