2019 Fiscal Year Research-status Report
フランスのコメルス・アソシエ(協同商業)に関する実証研究
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18K01900
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
佐々木 保幸 関西大学, 経済学部, 教授 (20268288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 道雄 大阪学院大学, 商学部, 教授 (10248263)
鳥羽 達郎 富山大学, 経済学部, 教授 (40411467)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | コメルス・アソシエ / 小売商業の協同組織 / ボランタリーチェーン / 小売国際化 / ネット通販戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019度はコメルス・アソシエを取り巻く競争環境研究および日本のボランタリーチェーン研究に注力した。調査活動としては、アジア市場に目を向け、そこでの欧米小売企業と現地小売企業の競争戦略や協同事業の状況について研究を行い、国内では、日本ボランタリーチェーン協会を中心とした調査を進めた(2019年10月)。また、近年のコメルス・アソシエもオムニチャネル戦略を重視しているため、ネット通販小売業の戦略等についても研究した。アジア市場における小売競争に関しては、研究分担者の鳥羽と2度現地調査を実施した(フィリピン・マニラ(2019年9月)、韓国ソウル(11月))。 これらの研究活動の成果としては、佐々木の著書内の論文2本、雑誌論文1本と学会発表に反映させた。研究分担者の鳥羽および田中も、それぞれ別項に示す研究成果をあげた。 「フランスにおける社会的連帯経済とコメルス・アソシエ(協同商業)」では、社会的連帯経済の構成をまとめ、フランスにおけるコメルス・アソシエの現状について再考した。著書内の論文「カルフール:ハイパーマーケットと巨大流通グループの創設」では、前年度の学会発表内容を踏まえ、カルフールの経営状況や戦略を論じ、オムニチャネル戦略やコメルス・アソシエ企業との協同について言及した。もう1つの著書内の論文「アマゾンにみる流通分野の新展開と『反アマゾン法』」では、近年におけるネット通販小売業の成長を考察し、小売競争の変化を論じるとともに、フランスにおけるネット通販小売業への公共政策的対応と協同商業を含む実店舗小売業の現状を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は3月にフランスでの現地調査を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大で計画を中止することを余儀なくされたが、小売業の国際的事業展開のなかで、現地小売業との競争と協同の構築並びに日本のボランタリーチェーン研究を進めることができた。とりわけ、日本のボランタリーチェーン研究に関しては、フランスのコメルス・アソシエとの比較研究として重要であり、有効に研究を進展させることができた。コメルス・アソシエを取り巻く小売競争環境は、今日ネット通販の著しい成長によって戦略対応が求められている。それゆえ、ネット通販小売業に関する研究を同時に進めることができたことも研究上有意義であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、研究分担者とともに、夏季にヨーロッパ(フランス、スペイン、イタリア)の協同商業組織に対する現地調査を計画している。フランスのコメルス・アソシエの全国組織(FCA)への調査に加えて、スペインのモンドラゴン等の協同組合企業への調査を行いたい。フランスとは、違ったガバナンスやマネジメントを有するこれらの組織に対する調査は、協同商業研究を深化させると思料している。 また、社会的連帯経済研究者との共同の研究会を開催することも計画している。そこでは、ヨーロッパのみならず、社会的連帯経済部門の一定の発展がみられる韓国等の実践知見を得ることを目途としている。ただし、これらの調査活動および研究活動等は現下の新型コロナウイルス感染拡大が収束しないと実施できない。感染症の動向を見据えながら、研究計画の柔軟な変更も視野に入れて研究活動を進めたい。 夏季を通じての研究調査活動を踏まえて、秋には所属する学会でコメルス・アソシエについての研究報告を行う。また、その内容を学会誌等に研究論文としてまとめ発表する。それを通じて、研究最終年度として、コメルス・アソシエの実態研究をまとめあげる。
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Causes of Carryover |
2020年3月に予定していた前年度未使用額を用いたフランスにおける現地調査が、新型コロナウイルス感染症の拡大によって遂行できなかった。 2020年度においては、フランスにおける現地調査に加えて、スペインの協同組合企業の調査を計画しており、次年度使用額を充用していく。
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