2020 Fiscal Year Research-status Report
Scalability of Management Control System: Aimed at Assistance in the corporate and regional
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18K01917
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
望月 信幸 熊本県立大学, 総合管理学部, 教授 (60508787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 晃史 関西学院大学, 商学部, 准教授 (20612930)
工藤 栄一郎 西南学院大学, 商学部, 教授 (30225156)
木村 眞実 東京都市大学, 環境学部, 准教授 (80516865)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | BCP / マネジメントコントロール / リスク管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度においては,中小企業に焦点を当てて,事業継続計画(BCP)の構築およびそのプロセスが企業のマネジメントコントロールシステム(MCS)とどのような関係にあるのかについて,これまでに行った事例をもとに研究を行った。 1つ目の事例では,発災後の対応力が日常のMCS能力に依存することが示唆された。特に,想定以上の被害に見舞われた場合には,マニュアルどおりに行動する以上に,現場の判断でその場でできる最善の行動をとることが求められることが明らかとなった。また,BCPの見直しを通じて取引先のMCSに影響を与えるなど,BCPとMCSとの間に相互作用が見られることが明らかとなった。 2つ目の事例では,BCPの策定・実践を通じて人材育成につなげていた。,BCPの策定プロジェクトを通じて,トップダウン型の運営に加えてボトムアップの強化を図ることで,MCSの進展につなげていた。この点から,BCPの策定プロセスが日常のMCSを改善する方向に導いたことが明らかとなった。 また,日常の経営管理とリスクマネジメントの部署を分けるような大企業のような組織とは異なり,リスクマネジメントの専門部署を設けることができない中小企業の場合には,リスクマネジメントの実践は日常管理に織り込まれて展開されることがあり,その場合はBCPの要素が日常管理とは区別されず一体型となって運用されることになる。つまり,中小企業のように部署を分けることが難しい場合には,一体型運用とすることでBCP要素が組織内で浸透し,従業員の行動パターンが変化してMCSが促進されることも事例から明らかとなった。 ただし,事例の企業でスムーズに一体型のBCPが機能したのは,前提として日常のMCSがすでに一定のレベルで機能していたことが影響すると考えられるため,MCSとBCPの運用についてはさらなる経験的研究の積み重ねが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により出張ができず,研究者間での文献を中心とした議論が成果の大半となった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響はしばらく続く見込みであることから,実地調査やヒアリング調査については可能であれば実施するが,実施の見通しが立たないことも考えられるため,最終的にはこれまでの調査および文献を中心とした形での研究に方向性を修正することが考えられる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により,調査出張ができなかったことで予算に残額が生じている。今年度は,学会報告および調査出張が可能であれば行う予定であるが,出張が困難な場合にはこれまでの調査結果を基礎としながら文献を中心とした研究に切り替える可能性があり,そのさいには書籍や資料をはじめとした物品に対しての支出が中心となる予定である。
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Research Products
(5 results)