2018 Fiscal Year Research-status Report
Multidimensional Aspects in Occupational Segregation: Longitudinal Trend in Japan and Cross-cultural Comparisons
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18K01966
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中尾 啓子 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (10274995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇田 彩 立教大学, 社会学部, 助教 (00750647)
大槻 茂実 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (20589022)
林 拓也 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (90322346)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 学歴と職業的地位 / 多元的な職業分離 / 国際比較 / 公的統計 / 対応分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の研究実績は主に3点である.すなわち,職業分離の多元性についての理論枠組みの再検討・精緻化,国際比較データの入手及び分析,そしてアメリカ社会学会での学会報告である. 職業分離の多元性についての理論枠組みの検討については,これまでの社会階層論が依拠してきた産業化命題等について文献整理を行った.これらの議論に加えて「圧縮された近代」などの比較的近年の理論的成果についても参照し,本研究課題の理論枠組みについて研究会等で議論を重ねた.データ分析の結果と合わせると,産業化命題が想定するような属性主義から業績主義への単純な移行では説明できず,属性主義が残存することを前提とした枠組みを検討する必要があることが示された. 次に国際比較データの入手は,世界各国のセンサスデータのアーカイブとして知られるIPUMSを通じて行った.センサスデータを入手したのはイギリスやフランスなどのヨーロッパ諸国と中国やインドなどのアジア諸国である.これらのデータを用いて,職業と属性(性別・学歴・コーホート)の集計表にたいして対応分析を実施した.この国際比較分析から産業化の進展具合や産業化・近代化の進展のパターンの差異などによって,職業分離の状況が異なることが示唆された.今後は,理論枠組みに照らし,これらの分析結果を綿密に解釈することが一つの課題となる. そして2018年8月に開催されたアメリカ社会学会にて報告を行った.報告内容は,これまでの理論的背景や分析から得られた知見の整理である.報告を通じて,他の階層研究者から助言を得た.具体的には国際比較分析を行うためのデータ入手についての助言,また国際比較研究だけでなく日本国内の分析についても精緻に実施する必要があり,その方針について意見を交換した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度について,当初は理論枠組みの検討,アメリカ社会学会での報告,そして国内時系列分析を行う予定であった.このうち,理論枠組みの検討及びアメリカ社会学会での報告については予定通り実施することができた.また国内時系列分析については,データの入手に当初の想定以上に時間を要することが判明した.そのため,国内のデータの入手手続きは進めつつ,2019年度に実施予定だった国際比較データの入手・分析を実施した.そのため,2018年度の計画とは変更点も生じたが,研究課題全体を鑑みれば概ね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究課題の推進については,2018年度に実施予定だった国内データについて入手し,分析を進めていく.これらの分析結果については研究会を実施し,2020年のアメリカ社会学会で報告するの準備を進める. また2018年度に進めた国際比較分析については,2019年8月のアメリカ社会学会で報告予定であり,この学会での報告を利用し,国際比較研究の理論および経験的データに基づく分析について諸外国の研究者と意見を交換する.
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Causes of Carryover |
2018年に申請予定だった国内データについては当初の想定とは異なり,2019年度に申請することになった.このため,国内データの入手にかかる費用は2018年度には執行せず,次年度使用額として計上した.国内データの入手については既に手続きを進めており,2019年度前期には完了するものと予想される.
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