2019 Fiscal Year Research-status Report
Reconsideration of "Douzoku(cognate groups) Theory" by Aruga Kizaemon: from the Standpoint of Historical Sociology and Commons Theory
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18K01987
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Research Institution | Morioka Junior College,Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
三須田 善暢 岩手県立大学盛岡短期大学部, その他部局等, 准教授 (10412925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 慧子 東北大学, 経済学研究科, 博士研究員 (00748965)
石沢 真貴 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (20321995)
林 雅秀 山形大学, 農学部, 准教授 (30353816)
庄司 知恵子 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (30549986)
長谷部 弘 東北大学, 経済学研究科, 教授 (50164835)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日本農村社会学 / 同族団 / 地方名望家 / コモンズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、3回にわたって研究会を開催し、各自が担当の報告をおこない、議論を行った。①三須田善暢「現在の状況・検討課題など」、林雅秀「所得税明細書にみる所得の内訳」、脇野博「工藤氏報告「齋藤家の大福帳について」より」、王慧子「史料目録について」、長谷部弘「柳田国男全集12から」(2019年6月1日)、②三須田善暢・庄司知恵子「斎藤善助日記から見えてきたこと」、林雅秀・脇野博「石神と川連の漆器生産をめぐる社会関係の比較」、長谷部弘「南部二戸郡浅沢(荒沢)村石神部落の経済史的諸条件」(2019年9月20日)、③庄司知恵子「現在の状況について」、林雅秀「明治以降の石神の漆器生産」、脇野博「石神における近世漆器生産をめぐる社会関係」、長谷部弘「南部二戸郡浅沢(荒沢)村 石神部落の経済史的諸条件」、石沢真貴「川連における近世から近代の漆器生産をめぐる社会関係」、三須田善暢「3年間のまとめと、次年度以降の課題について」(2020年3月9日)。 また日本村落研究学会大会にて全員が報告を行った。三須田善暢・庄司知恵子「日記からみえる昭和前期石神大屋齋藤家の生産と生活」。長谷部弘・王慧子「南部二戸郡浅沢村石神部落の経済史的諸条件」。大野啓「親方‐名子関係の変容」。林雅秀・脇野博・石沢真貴「石神と川連の漆器生産をめぐる社会関係の比較」第67回日本村落研究学会大会自由報告(2019年11月9日)。 並行して、2回の現地調査を行った。①齋藤家を訪問しお話を聞くほか、旧名子層の方にお話を聞き、また、隣接の中佐井集落および岩木、岩屋集落の農家も訪問した(2019年8月20日~23日)、②石神集落の新年会に参加し、旧名子農家の方に話をうかがった(2020年1月12日~13日)。 こうした一連の議論を通じて、現段階で残されている課題について析出を行い、2020年度に進行すべき具体的な進行計画を模索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、「研究目的」の欄で記した4つの課題を設定して、研究を積み上げていく。すなわち、①岩手県旧二戸郡「石神」集落(現八幡平市石神)の大屋齋藤家で公開された新史料を整理・解読・分析(歴史的検証作業)し、②現集落の農家調査と周辺の地域社会構造調査をおこなう。③それにより、有賀が示した 「同族団」理論の再検討をおこない、④「同族団」概念にとらわれない新たな地方名望家像および分析枠組みとしての社会結合理論の視座を把握し、農村研究の理論的発展への寄与を試みること、である。 本年度も昨年度同様、計画として①②を中心に③④まで踏み込む計画であった。①については、研究会と学会報告を予定通り実施し、一部についての分析をおこなったたものの、残念ながらいまだ史料目録が完全なものとなっておらず、充分な分析とはなっていない。②については、現地調査を2度ほどおこない、信頼関係を構築しつつあるものの、聞き取りはまだ不十分である。そのため③④の検討が今年度は行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の理由から2020年度は引き続き①②の作業を行いながら、そのなかで③の「同族団」概念への再検討をおこないつつ、④理論的発展のための作業を進める。 ①については、2019年度に学会大会で報告した各自の分担テーマに基づき論文を作成する。その際は研究会を実施し、ディスカッションを通じて考察を進める。②については、夏期・冬期など授業のない時期にある程度集中的な調査を行うことで、現状分析への道筋をつける。ただし、コロナウィルスの関係で十分におこなえるかどうか不確定ではある。③と④については個別研究の具体的な発見からの示唆をえるように心がけたい。なお、可能であれば、研究全体の暫定的な報告書を作成したい。
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Causes of Carryover |
本研究費以外の研究費も利用できたこと、および研究者の事情(病気、学務など)および対象者の事情(調査予定時の都合など)により予定通りに進まなかったといった理由による。 2020年度も同様の事情により計画が変更することもありうる。
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