2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on Socio-Economic Ecosystems of Resilient Regional Cities
Project/Area Number |
18K02007
|
Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
山本 尚史 拓殖大学, 政経学部, 教授 (80381341)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 正明 明治大学, 商学部, 専任教授 (30252381)
石田 万由里 玉川大学, 経営学部, 准教授 (30782370)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | レジリエンス / 社会経済システム / 地方都市 / 経済センサス / 地方財政 / 中小企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、レジリエンスがある地方都市の地域経済に関してその特色を明らかにするものである。本研究においては、「レジリエンス」を「外部からのショックに適応して、ショック以前の状態に回復したり、さらなる成長をもたらしたりする、自己変革能力」であると位置づけている。そして、本研究では、「リーマンショック」のような経済危機に見舞われた場合でも立ち直りの早い地方都市について、その特色を把握しようとするものである。本研究の到達点は、レジリエンスの理論的裏付け、実証的分析、研究で判明したことの経済活性化戦略への応用方法、を明らかにすることである。これまで、以下の分野において、積極的に資料の分析を進めるとともに研究成果の発表に努めた。 1.レジリエンスおよび社会経済システムに関する諸理論の相互的な関係 2.老舗および永続する中小企業の経営的な特徴と課題 3.企業の事業承継に関する財務上および会計上の特色 本研究では、図書資料を収集して既存研究に関して分析すると共に、データベースCDやオンラインデータベースから国内諸都市に関する統計資料を収集して地方都市に関する理解を深めた。そして、2020年度はコロナ禍のために諸学会の研究大会が中止になり研究発表の機会を逸したが、それまでは研究の進捗に合わせてそれまでの研究内容を学会発表することにより、他の研究者からの意見やインプットを求めた。2020年度の研究結果として判明したことは、社会経済システムに関する研究は国によって「流儀」がことなっていること、社会経済システム分析は、経済学や社会学のみならず、社会心理学、ネットワーク理論、複雑系科学など広範に亘る学際的な領域であること、地方都市の経済活性化戦略に応用可能であるが普遍的な法則が当てはまらないケースが多いこと、であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、レジリエンスがある地方都市の地域経済においてその特色を明らかにするものである。2020年度においては、新たな知見を得るために資料の分析を進めるとともに、これまでに研究した成果の発表を行う予定であった。具体的には、以下の研究活動を行う予定であったし、研究発表以外は、概ね予定通りに進捗した。なお、括弧内は担当者の名前である。 1.レジリエンスおよび社会経済エコシステムに関する複数の理論群の比較(山本) 2.永続する中小企業をうみだすための経営上の課題の明確化(竹村) 3.企業の事業承継を促進するための財務や会計におけるイノベーション(石田) 研究発表については、発表を予定していた学会がコロナ禍のためにすべて開催中止となったために、発表の機会を失った。その意味において遅れが生じていると判断されうる。ただし、研究自体は進捗していることや、2020年度に英国誌『Science Impact』に本研究に関する記事が掲載されたことから、2021年度には適切な研究発表の機会が得られるものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は、レジリエンスがある地方都市の地域経済においてその特色を明らかにするものである。2020年度においては、研究自体は進捗したものの、研究発表を予定していた学会がコロナ禍のために中止されてしまった。2021年度においては、様々な学会がオンラインで研究大会を開催すると発表していることから、そのような機会をとらえて研究発表を行う予定である。 また、本研究のことを聞いた地方自治体や経済団体から研究内容について照会を受けている。2021年度においては、そのような自治体や経済団体などに赴いて研究内容を発表するとともに、先方の問題意識に応じて、何らかの助言を行う予定である。なお、その際に適切な助言をすることができるように、そして最新の動向を助言に反映することができるように、追加的な資料の分析を進める予定である。その際に、研究の分担は以下の通りとする予定である。括弧内は担当者の名前である。 1.レジリエンスおよび社会経済エコシステムに関するケース分析(山本) 2.永続する中小企業に関する経営上の特徴(竹村) 3.企業の事業承継を促進する財務や会計上の仕組みとそれらを改善するための支援(石田)
|
Causes of Carryover |
2020年度においては、英国で開催される国際学会の研究大会に出席して本研究の成果を発表する予定であった。しかし、国際的なコロナ禍のために、英国への入国が規制されるとともに研究大会そのものの開催が中止になってしまった。このために、当初は旅費として割り当てていた額について執行できなくなり、次年度使用額が発生した者である。 2021年度における次年度使用額の使用使途については、(1)コロナ禍が継続しているものの、各種の学会がオンラインで開催されることになったために、学会参加費として執行する予定であること、(2)研究の成果について照会を受けている各地の地方自治体や経済団体に研究成果を報告するための旅費として執行する予定であること、(3)自治体や経済団体から助言を受ける際に適切かつ最新の研究に即した助言ができるように資料などを購入する費用として執行する予定であること、を予定している。
|